平成29年度においては、交付申請書に記載した研究計画に従って、対象患者の組み入れ、及び、評価尺度を用いた精神医学的評価を引き続き行った。平成16年度から当院耳鼻咽喉科と協力して実施した研究に組み入れた300人を超える症例と、本研究開始後に新たに組み入れた症例について、経時的な評価を継続している。主要評価項目である社会適応状態については、Social Adaptation Self-evaluation Scale (SASS)を、副次評価項目である抑うつ症状や健康関連QOLについては、Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS)や各種評価尺度を用いて評価しているが、これらについても研究計画通りに実施できている。組み入れた全症例について、上述のデータに加え、疾患特異的データ、人口統計学的データもデータベースに蓄積できている。昨年度に引き続き、われわれは集積したデータを逐次管理し、パーソナルコンピューター、データ解析用ソフトウェアを用いた解析に向けて準備を進めた。 今回、研究代表者の転勤により、今年度を以て当該研究(基盤研究(C):16K10249)は廃止することとなった。研究期間中に得られたデータの解析を進めることができなかったため、学会や論文において成果を発表することができなかった。われわれは当該研究廃止後も、社会適応状態や抑うつ症状、その他の因子についての経時的な変化を調査し、健康関連QOLを予測する因子を同定する研究を継続していきたいと考えている。結果が得られた際には、その結果を社会に広く示す所存である。
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