研究課題/領域番号 |
16K10252
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
堀内 史枝 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50363247)
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研究分担者 |
岡 靖哲 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (60419025)
河邉 憲太郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (90457375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 睡眠 / 発達 / メディア使用 / 保育園 / 幼稚園 |
研究実績の概要 |
「研究の目的」 平成29年度の研究では,乳幼児の生活様式による睡眠状況とメディア使用の違いに関する検討を行うことを目的とした.
「研究実施計画」 平成28,29年度に,愛媛県東温市の1.5歳および3歳児健診時に睡眠状況,メディア使用に関する問診票および自閉スペクトラム症のスクリーニング問診票(M-CHAT)の配布した.平成29年度は,保護者記入式の問診票から得られた指標を用いて,睡眠状況,メディア使用と生活様式(日中自宅で過ごす,保育園への通所,幼稚園への通園)との関連について解析した.対象は,1.5歳児183名(男児93名,女児90名)と3歳児215名(男児104名,女児111名)であった.結果,1.5歳児は日中自宅で過ごしている場合も,保育園で過ごしている場合も,総睡眠時間およびメディア使用の実態に有意な差は認めなかった.一方,3歳児は,総睡眠時間に有差はなかったが,幼稚園に通う幼児は,最もメディアの使用度が高かった.特に,携帯用ゲーム,据え置きゲームの使用頻度が高かった. 生活様式にあわせたメディア使用の実態について報告した.乳幼児の生活状況にあわせたメディア使用への介入が必要である.今後は,自閉症の特性とメディア使用の関連についても検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度より,1.5歳時・3歳時健診を実施した児童を対象に,調査を継続している.1歳半児健診:総290名(男子134名,女子156名),3歳児健診:総268名(男子132名,女子136名)であり,順調に回収できている.現在解析をすすめている. 健診者のうち,診断・介入が必要と思われる乳幼児を愛媛大学医学部附属病院の子どものこころセンターおよび睡眠医療センターへの受診をすすめる予定であったが,地域の見守りや助言に留まり,受診希望者の収集には至らない事例が多い.引き続き,発達障害および睡眠障害患者群を続きリクルートする.臨床評価および終夜ポリグラフィ検査指標との関連を抽出する.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も引き続きデータを蓄積する.平成30年度は,平成28年度に1.5歳児健診を実施した児童の3歳児健診となるため,同一児童の経年変化について検討を予定している.昨年に引き続き,睡眠状況,メディア使用と自閉症の症状程度の関連についてさらに解析をすすめる.また,愛媛大学にて平成29年度に実施した自閉症検査セット(ADOS-2)を用いて自閉スペクトラム症を更に精密に診断する.発達検査と睡眠検査を実施して,問診票における指標と生理指標の関連を明らかにする. 平成28年度に1.5歳時健診を実施した児童が3歳時健診を受ける年度となる.平成30年度は,個人内の睡眠障害・発達障害の症状推移を明らかにした上で,早期兆候としての指標マーカーを同定することを目標の一つとする. 小中学生になる睡眠障害を発症した発達障害の症状評価スケールおよび生理指標スケールに加え,幼少期の睡眠状態の聴取から,早期兆候として,有用な所見を同定することも目的とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,平成30年度にむけて,自閉症診断を確実なものにするため,世界標準であるADOS-2を購入した. 平成30年度は,健診にてフォローが必要と判断した乳幼児に対して,ADOS-2を用いて検査診断のうえ,研究を進める予定である.
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