研究課題/領域番号 |
16K10252
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
堀内 史枝 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50363247)
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研究分担者 |
岡 靖哲 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (60419025)
河邉 憲太郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (90457375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 早期兆候 / 睡眠覚醒リズム / M-CHAT / 乳幼児 |
研究実績の概要 |
【研究目的】 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorders: ASD)などの神経発達症は,睡眠障害を併存することが多く,神経の発達と関連している可能性がある.睡眠障害が神経発達症の早期兆候をとらえる上で重要な指標になりうるか検討することを目的とした. 【研究方法】 愛媛県東温市1.5歳健診時に,睡眠状況に関する問診票(Child and Adolescent Checklist: CASC),ASDスクリーニング法(Modified Checklist for Autism in Toddlers: M-CHAT)を配布する.ASD特性有群とASD特性無群とで,睡眠の問題・睡眠障害について2群間比較を行った. 【結果】 2016年9月から2019年2月に1.5歳健診を受けた611名のうち426名(M:F=204:222, 18.1±1.1ヶ月)から回答を得た(有効回答率:69.7%)・M-CHAT 3/23項目以上のASD特性有群は50名,3/23未満のASD特性無群は350名であった.睡眠習慣に関しては,昼寝回数/週(ASD特性有群v.s. ASD特性無群:6.5±1.3 v.s. 6.8±0.7, p=0.047)以外は,有意差は認めなかった. 睡眠の問題に関しては,睡眠時間の変動がASD特性有群で有意に大きく(χ2=16.518, df=1, p<.001),寝相の悪さが有意に少なかった(χ2=5.771, df=1, p=0.018). 【考察】 ASD特性を有する乳幼児と有しない乳幼児では,睡眠習慣に差がなかった.しかし,ASDの特性を有する児は睡眠時間の変動が有意に大きく,睡眠覚醒リズムの構築の困難さが示唆され,臨床感と合致する所見であった.睡眠覚醒リズムが幼少期より構築しにくい場合,神経発達症の可能性を考慮することの重要性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.5歳健診データとして500名を予定していたが,まだ達成できていないため,延長申請を行っている.3歳時健診にて,Autism Screening Questionnaire (ASQ)を用いてスクリーニングを試みたが,十分に特性を反映できていない可能性があり,問診票の変更を検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
データの更なる蓄積を行い,1.5歳児の睡眠状況が,早期兆候としての指標になりうるか更なる検討を実施する.3歳時健診については,問診票の差し替えを視野に入れて検討中である.
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次年度使用額が生じた理由 |
1.5 歳健診を受診した乳幼児の目標症例数500例に満たなかったため,継続調査を実施することとした.
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