研究課題
近年、我が国でも、長期休職者に占めるメンタルヘルス不全者の割合が増大しており、全国でリワークプログラムが行われるようになったが、その効果研究についての科学的な探索は十分ではない。本研究では、リワークプログラムに通所中の気分障害患者を対象に、自律神経活動を含めた精神症状を経時的に評価し、リワークプログラムの有効性や復職成功予測因子を検討した。リワークプログラム通所中の気分障害患者104名を対象に、リワークプログラム前後で精神症状重症度の比較を行ったところ、抑うつ症状、社会適応度ともに、プログラム修了後で有意に改善していた。また、安静時心電図を測定後、心拍変動パワースペクトル解析により自律神経活動を定量化したところ、プログラム修了後の副交感神経活動が有意に改善していた。リワークプログラム修了3カ月後に、復職できた群とできなかった群の比較では、プログラム前後での自律神経活動に有意差は見られなかった。一方で、プログラム前後での抑うつ症状の変化率が、復職出来た群で有意に高かった。本結果から、リワークプログラムが、精神症状だけでなく、自律神経活動の改善に有効であることが示唆された。また、プログラム前後での抑うつ症状の変化率が復職成功予測因子として有用である可能性が示唆された。
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BMC Psychiatry
巻: 20 ページ: 72
10.1186/s12888-020-02492-5
Heliyon
巻: 5 ページ: e02151~e02151
10.1016/j.heliyon.2019.e02151