研究課題/領域番号 |
16K10259
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡邊 由香子 帝京大学, 医学部, 助教 (00709727)
|
研究分担者 |
池淵 恵美 帝京大学, 医学部, 教授 (20246044)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 統合失調症 / リカバリー |
研究実績の概要 |
この研究の目的は、統合失調症の重要な治療目標であるリカバリーとその促進・阻害要因の解明を調査するため、調査施設のデイケア登録者を対象に1)リカバリーの実態調査、2)リカバリーの諸相に関する調査(精神症状・対人機能・主観的な回復体験・社会的役割の再建の相互関係の解析)、3)これらを踏まえた実世界で活用できるリカバリー支援のデイケアシステムの検討、を行うことである。 具体的には、1)の実態調査において、リカバリーしている人の割合についての後ろ向きコホート調査と、対象者のうち同意が得られたものに対してインタビュー調査を行う。コホート調査では、デイケア登録時を起点として5年ごとに、①臨床情報(初発年齢、未治療期間、罹患期間、入院回数、SES、GAF、CGI-S、内服状況、転帰など)、②生活情報(社会生活状況、就労状況、経済状況、婚姻状況など)③身体的健康(身体疾患など)について調査することで決定した。 インタビュー調査においては、主観的なリカバリーの評価、認知機能、精神症状、概括的な社会生活、生活状況の記述、家族から見たリカバリー評価、現在受けている医療福祉サービス、身体的健康、回復を支えてきたものと障壁・希望する支援などに関するインタビュー、過去の治療に対する本人評価、を聴取する。 調査終了後、結果を解析し、2)リカバリー調査、3)リカバリー支援システムの考察として、リカバリーの頻度、リカバリーの諸側面の関連、リカバリー寄与因子や関連因子の構造を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施機関において検討会を定期的に実施し、コホート調査及びインタビュー調査の調査内容と集計基準の検討を行なった。さらに本研究の対象とはならない患者サンプル例を抽出して予備的調査を実施し、調査内容の妥当性を確認した。 また、実際に行われる認知機能検査や症状評価については研修会を行ない、検査手順、検査者間での評価の統一性を図った。 既に研究対象者のリストは作成されており、コホート研究は開始した。インタビュー調査についても順次調査を開始する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度秋頃までを目処にカルテ調査の実施、データ解析を行う。 平成29年秋頃よりインタビュー調査を開始する。 平成30年夏以降インタビュー調査のデータ解析を行ない、リカバリー支援のデイケアシステムについての検討を行う。 定期的に実施施設内および施設間でのミーティングを開催し、実施状況を確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、研究計画の策定やカルテ調査が研究の主体であったことから、助成金の使用が少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度よりインタビュー調査が開始される。検査協力患者に対する謝金(一人当たりおおよそ6000円、対象患者は150~200名を想定)、調査研究補助員に対する報酬(患者一人の調査に対して3000円程度を想定)、調査依頼書や文書による調査回答に掛かる郵送費、その他雑費などに助成金を当てる予定である。
|