研究実績の概要 |
平成29年度の研究の目的は、データベースへの患者登録である、ほぼ目標症例数の77例の登録を行い、冠血行再建術前と後の冠血流予備能 (CFR)を測定した。5名脱落し、72例(至適内服治療群 [OMT, n=24]、経皮的冠動脈形成術群 [PCI, n=28]、冠動脈バイパス術群 [CABG, n=20])の治療前の結果を解析した。機能的CFRと冠動脈の解剖学的な重症度であるシンタックススコアおよびリーマンスコアとの関係を評価したところ、それらは有意な負の相関を認めた(P=-0.38, P<0.001)および(P=-0.31, P = 0.008)。 PCI群とCABG群において、治療のSYNTAXスコアの低下が有意に得られた。CFR値はOMT群(2.38 [IQ 1.83-2.80] vs. 2.42 [1.74-2.65], P=0.44)、PCI 群 (2.03 [1.70-2.78] vs. 2.23 [1.81-2.50], P=0.64)、およびCABG群 (1.67 [1.14-1.96] vs. 1.98 [1.60-2.39], P<0.001)と変化した。ベースラインのCFR値はCABG群で有意に低値であり、冠動脈疾患の重症度を反映した。治療効果を比較したところ、CABG群でのみ改善が得られた。 今回の検討から、CABG群では冠動脈の重症度が強く、従ってCFRも高度に低下していた。また、CABG群では有意なCFRの改善が得られることが明らかになった。
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