研究課題/領域番号 |
16K10266
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石橋 忠司 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40151401)
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研究分担者 |
本間 経康 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30282023)
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタルマンモグラフィ |
研究実績の概要 |
乳癌検診、診療に用いるデジタルマンモグラフィ支援読影システム構築、開発である。乳癌検診はすでに多くの施設でデジタルマンモグラフィ装置にて撮影されているにも関わらず、フィルムにて読影、判定されていることが多い。撮影装置によって画像データ量や、処理法が異なるなどの理由が挙げられている。デジタルマンモグラフィのデータの利点を最大限に活用することで、効率的で精度の高い検診普及ができると考えられている。特に注目されている診断支援システム(CAD)の普及と個別化医療を踏まえた乳癌リスク管理と考えられている。 我々の目指すデジタルマンモグラフィ支援読影システムは、精度の高い診断支援(CAD)システムを搭載することで、全国で行われている医師の二重読影の代わり、医師+CAD読影によって全国の読影精度管理、費用対効果に寄与することを目指している。また、乳癌リスクで注目されている乳房密度を自動測定し、高密度でリスクのある患者に対してのインフォームや超音波やMRIなどの二次検査の必要な患者のリストアップに寄与することである。 我々は、以前から診断支援システム(CAD)および乳房密度自動抽出ソフトの開発を行ってきた。しかし、開発した診断支援システム(CAD)では、乳房石灰化の抽出率は良好であるが腫瘤陰影、構築のみだれに関しては、人の判定に及ばず、精度が不十分であった。そこで、注目しした方法は、多くのAI技術に用いられている深層学習機能を活用したソフトの判定精度向上である。そのためには非常に多くの正常およびがん症例を含む臨床例が必要と判明した。そのために29年度に研究協力いただける検診機関と共同研究契約を結び、両者の倫理委員会での承認の後に、匿名化非連結のDICOMデータとして3万件におよぶ大量のデジタルマンモグラフィデータを入手した。このデータを用いて、現在開発中のソフトの改良と、システムの判定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳房密度の自動抽出ソフトはほぼ出来上がっているが、管球、ターゲットや検出器が異なる撮影装置、及びMLO,CCなどの撮影方法による差異の補正が不十分で有り、現在基準となる乳腺ファントムでの撮影を用いた補正に関して検討中である。もともとの日本人の乳房密度による乳癌リスクの差異に関しては他医療機関などから報告が出始めているがまだ正確なリシクファクターの値はないのが現状で有り。また、医師などの観察者間のばらつきも多く、本年度行った臨床読影実験ではカテゴリ別で5-20%もあることが判明し、今後の高密度乳房のインフォームの問題点も明らかとなった。 診断支援システム(CAD)の開発には、深層学習法でのソフト改良のために大量のデジタルマンモグラムを入手し、学習を開始した。より精度の高いCADとするために石灰化の位置、形状、分布、腫瘤、構築の乱れに関した医師の読影データを基に、CAD SRデータを取得し、同様の判定が出来るようにチューニング中である。
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今後の研究の推進方策 |
乳房密度測定ソフトに関しては、問題となっていた大胸筋を正確に排除した乳房画像を抽出し、乳腺量を提示することである。さらに、デジタルファントムデータを用いて、撮影装置ごとの補正表も作成し、より正確な乳房密度の表示ができることを目指し、また、このソフトの精度誤差の確認を行う予定である。 CADソフトに関しては深層学習法によって改良されたソフトを完成させること。およびこのソフトの検証を行う予定である。深層学習に用いなかった新たな臨床症例を使い、医師2名での読影とCAD+医師とでの乳癌発見率、要精査率を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定していたソフト開発が年度内に完成するることができず、予定していた臨床評価の読影実験を行うことができなかった。次年度使用額は平成30年度の助成金と合わせて、ソフト開発と画像評価に関わる費用として使用する計画である。
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