研究課題/領域番号 |
16K10270
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
久保田 一徳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (40625480)
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研究分担者 |
藤岡 友之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60771631)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳癌 / サブタイプ / 画像診断 / MRI / PET / heterogeneity |
研究実績の概要 |
研究2年目は、PCを用いたデータベースの拡充を行った。既存の乳癌症例データベースをもとに、画像診断レポート・システムの読影所見、電子カルテから臨床所見および病理診断について検索し、FDG-PETにおける集積の程度(SUVmax値を主としたデータ)、造影MRIでの画像所見(ACR-BI-RADSに基づく形状などの所見)および血流情報、病理組織診断、サブタイプ、臨床経過の情報を整理して入力し、匿名化した状態での症例検索を可能とした。継続して、前向きの新規乳癌症例の追加を行い、乳腺外科や病理部と協力して診療データ収集を行い、臨床上妥当な範囲でFDG-PET/CTとともに造影MRI撮像を行った。 また、国内外の学会に参加し、乳癌画像診断を中心とした最新の知見を得ることで、研究に必要な情報や解析方法についての検討を行った。とくに、北米放射線学会および欧州放射線学会ではAI(人工知能)を用いた画像分析方法についてや、画像上のheterogeneityをとらえる方法であるテクスチャ解析の知見を深めた。 1年目に行ったトリプルネガティブ乳癌のサブタイプ亜分類ごとのデータを収集・解析結果について、さらに新たな知見を加えての検討を行い、論文執筆の準備を行った。さらに、データベース作成が進み、症例蓄積が進んだことによって、乳癌全般の包括的なサブタイプ解析の土台作りとができたと考えている。すでに一部のデータについては解析ができており、乳癌サブタイプ毎での統計解析に取りかかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース作成が順調に進展している。研究1年目から引き続き、PCを用いたデータベースの拡充を行った。既存の乳癌症例データベースをもとに、画像診断レポート・システムの読影所見、電子カルテから臨床所見および病理診断について検索し、FDG-PETにおける集積の程度(SUVmax値を主としたデータ)、造影MRIでの画像所見(ACR-BI-RADSに基づく形状などの所見)および血流情報、病理組織診断、サブタイプ、臨床経過の情報を整理して入力し、匿名化した状態での症例検索を可能とした。一部のデータ(トリプルネガティブ乳癌のサブタイプ亜分類)については既に解析が行われており、今後のデータ解析も順調にできるものと考えられる。 また、国内外の学会参加を通して、新たな解析手法についても習得を行ったことで、単一の手法での解釈が難しいと思われる乳癌heterogeneityに対しての対応も行うことができると考えている。 データの扱いの中でいくつか問題となった事項があり、対応を検討した。具体的にはLuminalタイプ乳癌が多いわりに、トリプルネガティブ乳癌、HER2陽性乳癌の数は少ないもの。しかしこれらは想定範囲内である。Luminalタイプ乳癌については亜分類の方法をどうするかの検討が必要なものもあり、これらの対応について検討を行っているところである。最終的には収集されたサンプルについて、妥当な分類方法を用いての解析を行うことが可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作成されたデータベースを用いて、全般的なデータに対しての解析を行い、最終的な検討を行うこととなる。データの扱いの中でいくつか問題となっている事項があるが、対応方法については検討されており、解決可能と考えられる。具体的にはLuminalタイプ乳癌が多いわりに、トリプルネガティブ乳癌、HER2陽性乳癌の数は少ないもの。しかしこれらは想定範囲内である。Luminalタイプ乳癌については亜分類の方法をどうするかの検討が必要なものもあり、これらの対応についてはKi67 indexが明確に得られている群のみを用いるか、過去のものでデータが足りないものについてはnuclear gradeに基づいて代替的に分類する手法を用いる予定である。また、最終的に意義のある結果を出すことが望まれるため、この研究期間のの範囲においては場合によってはサブタイプを絞って明確な結果を提示することも検討している。いずれにおいても、最終的には収集されたサンプルについて、妥当な分類方法を用いての解析を行うことが可能と思われる。 研究上で必要な学術的な情報を入手するために、今後も国内外の学会での情報収集は継続する。とくに、AI(人工知能)でのdeep learningを用いた手法や、テクスチャ解析を用いた手法などは研究計画以降に大きく発展しており、これらの手法について十分に習得した上で検討する必要があると考えている。最終的にはデータ解析を行い、論文の執筆、投稿、ならびに国際学会への発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目は翻訳や英文校正を行わなかったため、次年度使用額が生じている。3年目に論文作成を行う際に、当初からの予定分とあわせて使用する予定である。
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