研究課題/領域番号 |
16K10272
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小坂 一斗 金沢大学, 附属病院, 講師 (80547175)
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研究分担者 |
原田 憲一 金沢大学, 医学系, 教授 (30283112)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EOB造影MRI / 肝内胆管癌 / 細胆管癌 / FDG-PET/CT / OATP1B3 / グルコーストランスポーター |
研究実績の概要 |
FDG-PET/CTでは肝内胆管癌はFDG集積をすることでhot spotを呈することが知られているが,まれに例外的な症例が散見される。肝内胆管癌を組織学的に亜分類することで,FDG-PET/CTの集積の多寡の原因を検討した。外科切除された腫瘤形成性肝内胆管癌14例(全例腺癌)を対象とし,組織学的に腫瘍細胞が細胆管に類似し,置換性増殖を特徴とするものをBile ductular carcinoma (BDC)と亜分類し,それ以外の肝内胆管癌をordinary adenocarcinoma (OAC; 通常腺腔径が100μm以上で粘液産生を認めるもの)について,FDG-PET/CTでのFDG uptakeをSUV-max値として計測し,二群を比較し,さらに得られた組織検体から各種グルコーストランスポーター,およびその関連抗体(Glut-1, 2, HK Ⅱ, glucose-6-phosphatase (G6P))の発現について検討した。その結果,BDCはOACに比べFDG-PET/CTで低集積,またGlut-1発現の低下していることが判明した。BDCは糖代謝の側面からも肝内胆管癌の一亜型であると言える。 また,Gd-EOB-DTPA造影MRIのEOB肝細胞相では肝細胞癌の10-15%に細胞膜トランスポーターのOATP1B3の発現とともに,腫瘍の造影効果が示されているが,肝内胆管癌でのこれらの所見の出現率,機序は不明である。外科切除された腫瘤形成性肝内胆管癌23例(全例腺癌)を対象とし,Gd-EOB-DTPA造影MRIの所見とOATP1B3発現を比較したところ,OATP1B3に依存しないEOB uptakeが肝内胆管癌で見られる知見を得た(未発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝内胆管癌のイメージバイオマーカーとして,FDG-PET/CT,Gd-EOB-DTPA造影MRIの画像所見の有用性ならびにその背景となる分子生物学的所見(グルコーストランスポーター,肝細胞膜トランスポーター)について明らかとすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は肝内胆管癌の遺伝子プロファイルに関連した画像所見を検討していく予定である。すなわち肝内胆管癌をサイトカインやSTAT3 activationの高発現を認める”炎症型”とoncogenic signal pathwayの活性化とKRASの11q13.2のDNA増殖、BRAFの14q22.1欠損を示す“増殖型”に分類した上で,これらは腫瘍肉眼形態および脈管浸潤あるいはMR信号について検討する。また,画像所見の解析についてはtexture解析の手法を用い,定量評価値も併せて検討し,上記サブタイプを臨床画像から推測する有効な所見(イメージバイオマーカー)を検討する。研究体制・組織図については変更はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたデスクトップパソコンについて,更新の必要が生じなかったため,助成額に余りを生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前述の装置の老朽化があるので平成29年度には新たに購入する予定である。
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