研究課題/領域番号 |
16K10274
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
藤原 雅雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40456554)
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研究分担者 |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | センチネルリンパ節 / リンパシンチグラフィ / 皮膚悪性腫瘍 / 転移 / 画像診断 / リンパ流 / PET / CT |
研究実績の概要 |
倫理委員開会の基準を満足した悪性黒色腫・有棘細胞癌・浸潤性乳房外パジェト病等の転移性皮膚悪性腫瘍を有する22症例で静的・動的リンパシンチグラフィー(lynphoscintigraphy:LS)を行った。時間あたりのセンチネルリンパ節(SLN)およびその周辺領域(ROI)の放射性同位元素カウント曲線(time-activity curve)がプラトーに達する時間からSLN描出時間 (Scintigraphic Appearance Time: SAT))を計測した。“腫瘍と SLN 間の距離”の計測は、LS後にインドシアングリーンを用いた蛍光法で行っているが、LSの際のPET-CT作成時に“SLNと腫瘍間の距離”を腫瘍とSLNを結んだ直線を用いてCT上での近似値も計測している。“SLNと腫瘍間の距離”をSATで除した値である新規パラメーター(lymphatic transit rate, LTR)”を求めている。 準備段階ではあるが、上肢・下肢の悪性黒色腫のリンパ節転移に関するカットオフ値を求めた。悪性黒色腫はPETやCTでのリンパ節転移診断が困難な場合が多いため、有意義な結果であると考える。 加えて、付随するPET検査の結果から、そのmaximum standardized uptake value (SUVmax)を用いて、乳房外Paget病ではリンパ節転移の有無の推測ができることを論文報告で示した。 次に、体幹における浸潤性乳房外パジェト病とLTRの関係についても調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規パラメーター(lymphatic transit rate, LTR)と、センチネルリ ンパ節への転移の有無に密接な関係がみられているが、上肢と下肢における悪性黒色腫で、そのカットオフ値が予想できてきた。加えて、付随するPET検査の結果から、そのmaximum standardized uptake value (SUVmax)を用いて、乳房外Paget病ではリンパ節転移の有無の推測ができることを論文報告で示した。
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今後の研究の推進方策 |
症例を蓄積する。その中で、腫瘍の部位(頭頚部、体幹、上肢、下肢)ごと、腫瘍の種類(悪性黒色腫、有棘細胞癌など)ごとのリンパ節転移を示唆するカットオフ値を求めていく。 SLNと腫瘍間の距離の測定にSPECT/CTの情報利用を導入し始めた。SLN描出時間(Scintigraphic Appearance Time: SAT)計測に新たにソフトを導入して、LTR値の測定を簡便化したい。 加えて、皮膚癌原発巣の細胞環境と、LTR値とリンパ節転移との関係解明を手掛ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費を使用して、2016年7月から施行しているリンパシンチグライ検査について、当初は月3例、平成28年度は約30例を想定していた。本研究を本学倫理委員会を通す際に、臨床保険加入が条件となった。研究期間内の保険料は従来通りの9万円程度(日本興和損保)を予想したが、今回は361700円もかかった(三井住友海上火災)。これは計12回分の検査費用を使用したことになる。平成29年3月までにあと18回以上の検査件数が予想され、検査費用の不足が懸念されたため、平成28年10月4日に次年度の研究費の前倒し請求を行った。平成29年4月から振り返れば、平成28年度の検査は21件で保険料該当分(12回)を加えて、費用上は33回分の検査を施行したことになる。
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次年度使用額の使用計画 |
悪性黒色腫以外の転移性皮膚腫瘍のリンパシンチグラフィは保険適応外なので、引き続き、研究費を用いて、リンパシンチグラフィを施行する。
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