研究実績の概要 |
悪性黒色腫のSLN生検での転移陽性率は約20%で、センチネルリンパ節(SLN)生検施行症例の約80%は結果的にはSLN生検を要しなかったこという現実がある。そのため、申請者らは画像データを利用したリンパ節転移予測について研究を開始した。 リンパシンチグラフィ(LS)を用いて、センチネルリンパ節(SLN)と腫瘍間の距離を SLN描出時間で除した値をlymphatic transit rate(LTR)と定義した。2014年にLTRの方法論を論文発表、2016年には体幹皮膚癌での、2018年には四肢悪性黒色腫でのリンパ節転移予測におけるLTRの有用性を報告した(Fujiwara, et al. J Dermatol 2014, J Dermatol 2016, J Dermatol Sci 2018)。その中で、LTRはリンパ節転移陰性例では陽性例に比較して低下することを明らかにした。 申請者らが考案したLTRはTumor-induced lymph drainageという概念を皮膚癌の転移診断に用いたものとして論文中で紹介されている (Patridge, et al. Scientific reports 2015)。 次に、SUVmaxを参考にした有棘細胞癌と乳房外Paget病でのリンパ節転移予測について報告した(Fujiwara, et al. J Dermatol 2016, 2017)。両者ではSUVmax<2.5のリンパ節では転移陰性であった。これらは両者の診断法やレビュー論文に引用されている(Ito, et al. Expert Rev Anticancer Ther 2018; Bayan, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol 2018; Tejera-Vaquerizo, et al. J Dermatol 2018)。
|