胆管癌で多相造影CTが撮影された症例データベースより手術が施行された症例を抽出し、病変部、正常胆管、膵実質、肝実質の造影前、動脈後期相、門脈相、平衡相のCT値を計測して、病変部の造影効果、正常胆管、肝実質、膵実質とのCT値の差を比較した。また、dual energy CTで撮影された症例では、胆管癌の造影効果が最も強い動脈後期相から仮想単色X線画像を作成し、水平方向、垂直方向進展に関して進展範囲を比較評価した。 病変部の増強効果に関して、CT値は平均で造影前38.2HU、動脈後期相136.5HU、門脈相132.5HU、平衡相107.6HU、病変部と正常胆管、肝臓、膵臓とのCT値の差は、それぞれ動脈後期相で96.7HU、32.4HU、-17HU、門脈相で87.2HU、8.3HU、19.8HU、平衡相で69.6HU、12.2HU、24.6HUであり、肝門部領域胆管癌の診断で重要となる病変部と正常胆管、肝臓とのCT値の差は、動脈後期相が最も大きくなった。病変部と膵臓との比較では、膵実質が動脈後期相で強く造影されることもあり、平衡相でのCT値の差が最も大きくなった。進展範囲の評価に於ける視覚的評価に関しては、門脈相で最も明瞭に見られるものが多く、次に動脈後期相と門脈相が同程度のものが多かった。一方で遠位胆管癌、肝門部領域胆管癌のいずれにも平衡相で最も明瞭となる病変も認めた。最適な評価の時相として、門脈相であれば動脈後期相の大多数の症例で有用ではあるが、平衡相が有用な症例もあることが明らかとなった。造影パターンと病理組織との比較検討では、低分化腺癌の方が管状腺癌よりも濃染される傾向が見られた。仮想単色X線画像を用いた比較では、水平方向、垂直方向の進展範囲の評価に関して100kV画像がコントラストが良かったが、範囲に関する差は認めなかった。
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