研究課題/領域番号 |
16K10277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白神 宜史 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00560400)
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研究分担者 |
池田 隼人 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (30649083)
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ギャップ結合 / ペプチド / 123I / SPECT / 211At / コネキシン43 / PET |
研究実績の概要 |
研究課題「生体内の細胞間コミュニケーション・イメージング用SPECT診断剤の研究」につき、当初の計画に従い初年度の実験を実施した。はじめにギャップ結合ヘミチャネルに親和性が期待されるペプチド約10種類を設計・合成した。ペプチドは、いずれもコネキシン43の部分配列(Gap19, Gap26及びGap27)に特殊アミノ酸残基、リンカー、キレート剤又は蛍光剤等を結合させたものである。合成ペプチドの品質はHPLC-MSで確認した(純度>95%)。次にこれらペプチドをIn-111, I-123又はAt-211のRIで標識する方法を検討した。 In-111の場合は、予めキレート剤(DTPA)を導入したペプチドに、クエン酸緩衝液(0.05M, pH5.7)存在下で[In-111]塩化インジウム溶液を添加し放射化学的純度(RCP)99%以上のIn-111標識体を得た。I-123及びAt-211の場合は、予めチロシン残基(Tyr)を導入したペプチドに酸化剤(N-bromosuccinimide)の存在下で[I-123]ヨウ化ナトリウム溶液又は[At-211]アスタチン化ナトリウム溶液を添加しI-123又はAt-211標識体を得た(RCP>90%)。またRI標識ぺプチドの分析法(純度試験)として、薄層クロマトグラフ法(TLC)と電気泳動法(EP)の2法を確立した。次にIn-111標識ペプチド(In-111-Gap19及び-Gap26)を代表例として、正常ラットに静脈内投与し1時間後の体内分布を調べたところ、腎臓に約5%ID/gが集積したが、それ以外に非特異的な集積を認めなかった。以上の結果より、初年度の目標であったRI標識ぺプチドの調製方法を確立でき、また本RI標識ぺプチドは正常動物への非特異的集積を示さなかったことから、次年度は薬効評価研究へ進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標であった1)化合物の調製(約10種のペプチド合成)、2)RI標識法及び品質分析法の確立(In-111, I-123及びAt-211による標識検討を実施し、TLC及びEP分析法を設定)、3)正常動物による予備的な薬物動態の確認(In-111標識ペプチド2種によるラット体内分布試験実施)まで進めることができたので、おおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度は、これまでに調製したRI標識ペプチドを用いて、インビトロ及びインビボ動物実験により、薬効評価を進める予定である。尚、当初予定していたRIはTc-99mであったが、それに換えてより汎用性のあるIn-111とI-123を用いることにする。また実験の目的によっては目視で確認できる蛍光標識ペプチドも随時利用し、実験の加速をはかりたい。課題としては、薬物動態試験に用いる放射能測定装置や代謝ケージの測定環境が十分でないことが最近判明したことがあげられる(具体的には全身放射能の測定、尿中排泄率の測定のための設備がなかった)。そこで、現在、測定システムの補強整備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月に発注していた試薬(蛍光標識ペプチド)の納品が、メーカー側の都合により年度内に間に合わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の未納品試薬は、メーカーに確認したところ5月までには納品される予定である。したがって次年度使用額は、翌年度分として請求した助成金と合わせて、当初の計画通りに使用する予定である。
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