研究課題/領域番号 |
16K10277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白神 宜史 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00560400)
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研究分担者 |
池田 隼人 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (30649083)
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ギャップ結合 / 心不全 / SPECT診断 / アルファ線内用療法 / 核医学治療 / アスタチン / 核医学 / 放射性医薬品 |
研究実績の概要 |
1. RI又は蛍光標識GAPペプチドのスクリーニング(対象:心不全のSPECT診断)~RI又は蛍光標識用のペプチド15種を合成し、そのうち9種類をスクリーニング用として選択した。代表的な2種類のペプチド配列を例示する(GAP19-DTPA-L: DTPA-LKQIEIKKFK, CTD10-FITC: FITC-aca-S-SRPRPDDLEI)。日本メジフィジックス社(共同研究契約先)と協議し、ヒト心疾患病理標本によるスクリーニング実験を同社に依頼した(オートラジオグラフィ法および免疫染色法による)。同社は、現在、病理標本の収集中である。 2.[211At]標識フェニルアラニン類の合成(対象:グリオーマ、膵がんのSPECT診断および核医学治療)~ボロノフェニルアラニン類を前駆体(原料)とする[211At]標識フェニルアラニン類([211At]Pheおよび[211At]FPhe)の合成法を確立した(放射化学的収率≧95%)。また本化合物をグリオーマ移植ラットに投与したところ、SPECTイメージングにて腫瘍が明瞭に描出された。本結果を特許出願するとともに欧州核医学会にて発表した。 3.高純度アスタチン化ナトリウム([211At]NaAt)水溶液の調製(対象:甲状腺がんのSPECT診断および核医学治療)~サイクロトロンで製造した211Atをドライ蒸留法で粗211At-水溶液として回収したのち、還元剤を添加して高純度の[211At]NaAt水溶液を調製することに成功した(放射化学的純度≧80%)。また本剤を正常ラットに投与したところ、還元剤がない場合に比べて3~5倍の高い[甲状腺/胃]集積比が得られた。本結果を特許出願するとともに、世界核医学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GAPペプチドは化合物のスクリーニング段階であるが、共同研究先のヒト病理標本の収集がやや難渋している。その原因は、臨床研究法の施行に伴い、ヒト標本の取り扱いが厳格化されたことにある。アスタチン(211At)標識化合物の実験は、動物による予備的な薬効評価の段階にあり、予定を上回るスピードで進展している。研究者間の連携により役割分担ができるようになったことが効を奏している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、昨年度後半に開始されたJSTが支援する研究事業に組み込まれたので、理学部と医学部および企業の混成チームによる組織力を活用し、研究を推進したいと考えている。また本学の産学共創本部の協力を得て、特許のパッケージ化による権利強化も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 2月に購入を予定していた消耗品資材(マイクロチューブ等)の在庫切れのため、年度内の入荷が間に合わなかったため。 (使用計画) 上記の資材は4月以降に発注・入荷を予定している。したがって次年度使用額は、翌年度分として支払い請求した助成金と合わせて、当初の計画通りに使用する予定である。
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