研究課題/領域番号 |
16K10279
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
立神 史稔 広島大学, 病院(医), 講師 (90411355)
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研究分担者 |
粟井 和夫 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (30294573)
檜垣 徹 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 特任准教授 (80611334)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 冠動脈石灰化 |
研究実績の概要 |
3Dプリンター(Agilista 3200、KEYENCE)を使用して、冠動脈カルシウムファントムを作製した。人体を模したファントム本体の直径は300×200mmとし、軟部組織の領域はアクリル材を、骨は石膏を使用した。血管ファントムは2%ゼラチンで満たされたアクリルパイプを用いて作製した。石灰化モジュールをケシ油で希釈したリピオドールで作製し、CT値200HU、400HU、600HUの3種の濃度で作成した。各濃度において1.0、3.0、5.0mm3の体積の石灰化モジュールを作成し、マイクロシリンジを用いてゼラチンに挿入した。320列CTを用い、管電流を240、200、160、120、80、40mAと変化させて撮影を行った。画像再構成はfiltered back projection (FBP)、逐次近似応用再構成法(hIR)、モデルベース逐次近似応用再構成法(mbIR)で行い、それぞれで石灰化の容積を計算した。その結果、すべての再構成法において、物体の濃度が減少するにつれて容積測定の精度が低下した。5.0mm3と3.0mm3のモデルに関しては、空間分解能はmbIR画像で最もよく、最も正確な再構成方法となった。すべての再構成法において、1.0mm3の体積は不正確であった。mbIR画像が最も正確な値を計測できると判断し、引き続いて線量低減が何処まで可能かを検討した。400HUおよび600HUを有する5.0mm3モジュールでは、80mAで得られた石灰化の測定値は240mAのものに匹敵し、67%の線量低減が可能と考えられた。3.0mm3モジュールでも同様の結果であった。1.0 mm3モジュールでは、測定された体積はすべての管電流で真の値よりもはるかに大きく、CTスキャナの空間分解能の限界と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小さな石灰化の容量計測を行う上で、最も精度の高い再構成法がモデルベース逐次近似応用再構成法であることをファントム実験で確認できた。またこの再構成法により67%の線量低減が可能と考えられた。また濃度が低い、あるいは1mm3と小さいモジュールでは精度が大きく低下することも確認できた。 なお、臨床で使用している石灰化スコアの算出法は簡易的な計算法であり、今回の結果とは傾向が大きく異なりそうである。今後、我々の手法とどれだけの違いがあるかを検討し直す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
臨床で使用している石灰化スコアの算出法は簡易的な計算法であり、我々が29年度に検討した手法と大きく異なっている。30年度は、ファントムおよび実際臨床で撮影された画像データを用い、石灰化スコアと我々が用いた計算法の結果にどれだけの乖離があるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた学会に出席できなかったため、次年度使用額が生じた。 平成30年度に当該学会に参加することとする。
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