研究課題/領域番号 |
16K10280
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
粟井 和夫 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (30294573)
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研究分担者 |
福本 航 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 特任助教 (00726870)
石田 万里 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (30359898)
中浦 猛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任講師 (90437913)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CT / 低電圧撮像 / DNA / γ-H2AX |
研究実績の概要 |
2018年度は予定していたすべての実験サンプル(CT撮像した血液標本のリンパ球中のγ-H2AX foci)の測定を実施し、研究を終了した。研究の概略は下記の通りである。 目的:CTにおけるX線被爆によるDNA損傷が、撮像管電圧により変化するか否かを検討する。 方法:5人の健常ボランティア(中央値30歳)から静脈血採血を行い、それらを10本の試験管に5mLずつ分注した。このうち、5本には造影剤を0.17mL加えた。CT撮像用のファントムとしてアクリルレジン製楕円形容器を制作し、内部にはゼラチンを封入した。ファントム中心部には直径1.5cm、長さ10cmの孔を設け、前述の試験管を封入した。撮像は320列CTを用いて、いずれの管電圧(80 、100 、120 、135 kVp)においても吸収線量が約40mGyとなるように電流を調整して、血液サンプルを撮像した。撮像後の血液についてLymphoprep法でγ-H2AX fociの測定を行った。 結果と考察:放射線を照射していない血液サンプル内のγ-H2AX fociの中央値は0.61、照射した血液サンプルでは0.56であり、両者に統計学的有意差はなかった(p=0.63)。血液に造影剤を加えなかった場合、電圧が80、100、120、135 kVp時のγ-H2AX fociの増分の中央値は、それぞれ 0.38、 0.10、0.27、0.39 foci/cellであった。血液に造影剤を加えた場合、は、それぞれ0.33、0.37、0.67、 0.62 foci/cellであった。造影剤を加えるか否かにかかわらず、γ-H2AX fociの増分は、電圧間で統計学的有意差を認めなかった。以上より、吸収線量を一定となるように設定した場合、CTの撮像管電圧は、γ-H2AX fociの増加に影響を及ぼさないと考えられた。
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