研究課題/領域番号 |
16K10285
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 康行 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60220349)
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研究分担者 |
北島 美香 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (60305018)
宇都宮 大輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任准教授 (30571046)
中浦 猛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任講師 (90437913)
尾田 済太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (80571041)
船間 芳憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (30380992)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CT / 放射線被曝 / フィルターバックプロジェクション法 / 逐次近似法 / 再構成アルゴリズム |
研究実績の概要 |
CTにおける被曝低減を目的として、今年度はCTの臨床的有効性についての探索的研究としてCT検査が本当に国民の健康増進に寄与しているかどうかのエビデンスについてこれまでに出された数多くの文献を検証し、頭部、頭頚部、胸部、心血管系、消化器系、泌尿生殖器系、小児の各領域における代表的疾患においてその臨床的有用性を検証した論文を集積しCTの適応を再検討してきた。その結果の一部については画像診断のガイドラインとして報告した。 一方被曝低減の基礎的及び臨床的研究として、低被曝の方法は再構成アルゴリズムの検討として臨床機に搭載されている従来型逐次近似再構成技術、現在研究段階にあって今後臨床応用が期待されるモデルベースの逐次近似法の技術について従来のconventionalなfiltered back projection法と対比し、その被曝低減効果と画質に与える影響について低被曝検査が特に重要と考えられる頭部、胸部、心臓、腹部領域においてfiltered back projection法をベースとして逐次近似再構成法における画像の特徴や病変検出能、X線量低減などについて検討を行った。その結果、モデルベースの逐次近似法を用いることで、臨床的に問題ないレベルで大幅な被曝線量の低減がはかれることが可能となることが明らかとなった。しかし、画像のtextureが従来のものとは異なったものとなるため、読影に習熟する必要があることも分かった。また同時に逐次近似を行うことで、金属のアーチファクトを低減することも可能となることが明らかとなり、ステント内腔の狭窄などの評価能が向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的を概ね遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
CTの有用性についてsystematic review及びメタアナリシスをおこなう予定であるが、多くの領域で十分な情報と文献数が揃っていないため、統計学的なデータ解析が困難であることが予想されるので、今研究においては臨床的提言にとどまる可能性がある。 今後は初期の臨床研究の成果を基に頭部CT,胸部肺癌スクリーニング、心臓CT,腹部ダイナミックCT、小児CTの検査において多施設共同研究を実施し、画像のノイズ、アーチファクトならびに総合画質評価を、通常のfiltered back projection処理および逐次近似前後での画質について定量的定性的に評価する。その際、メーカー毎に処理法が異なることが予想されるので適宜同レベルの処理法かどうかを検証していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
地震の影響もあり、研究用書籍等の物品の購入が少なかったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の学会での研究発表による旅費や論文投稿のための費用、データ解析用のコンピュータ及びソフトの購入を計画している。
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