研究課題/領域番号 |
16K10286
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宇都宮 大輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任准教授 (30571046)
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研究分担者 |
福井 寿啓 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (50445045)
船間 芳憲 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (30380992)
尾田 済太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (80571041)
木藤 雅文 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (40744909)
中浦 猛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任講師 (90437913)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 4D-CT / 心機能 / ベクトル解析 |
研究実績の概要 |
心臓の4D-CTを用いて心筋壁運動のベクトル解析(i-ME法)の臨床応用を進めるために画質向上、ノイズ低減に関する冠動脈再構成法の検討をファントムおよび後ろ向き臨床研究を行った。 1)ファントム実験では冠動脈ファントムを異なる撮影条件下でスキャンした。フィルタ型逆投影、逐次近似再構成(ハイブリッド型;完全型)で画像を作成し、再構成手法が濃度分解能、空間分解能に与える影響について評価した。これによって完全型の逐次近似再構成画像が濃度分解能、空間分解能ともに向上させることが分かり、心臓CTの再構成法として適していることが判明した。また、その傾向は線量が低下するほど顕著であった。ただし、再構成に時間を要するため日常診療への完全型逐次近似法の応用はまだ難しいことも分かった。 また、ステントモデルでの影響も調査したが、冠動脈内腔とステントの境界も明瞭で空間分解能の向上が確認され、これはステント内腔の濃度上昇が押さえられるかたちで濃度分解能の向上ももたらした。これによりペースメーカー等の植込みデバイスの入っている患者でもより正確な評価が可能になるのではないかと推測された。 2)1)の実験での結果が臨床においても当てはまるものかを検証した。冠動脈の近位部、遠位部、中隔枝、心筋について定量的、視覚的評価を二名の放射線科医により行った。心臓用にチューニングされた完全型逐次近似法(Cardiac Sharp)において画像ノイズの軽度上昇とのトレードオフはあるものの心臓構造の視認性向上が得られることが明らかになった。 以上の検討より心臓の解析においては100 kVpの管電圧を用いて、完全型逐次近似再構成法(Cardiac Sharp)による画像再構成を採択する方向性が明らかになった。i-ME法における正確な心臓境界の同定と定量性に寄与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本となるスキャン方法に関して十分な検討が進められており、その成果の一つは既にAcademic Radiologyに採択されている(Improved Estimation of Coronary Plaque and Luminal Attenuation Using a Vendor-specific Model-based Iterative Reconstruction Algorithm in Contrast-enhanced CT Coronary Angiography. Acad Radiol 2017)。
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今後の研究の推進方策 |
以下の項目について今後検討を進めていく予定である。 ・心筋梗塞の患者さんのCTをi-ME解析し、その評価を定量的、定性的に進めていく。 ・定量指標としてベクトル解析の至適断面の決定 ・全体の壁運動総和の指標と局所の壁運動指標を明確にし、臨床経過との比較を行う。 ・ストレイン解析の可能性について探索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本地震の影響で、熊本県内に留まる必要のある時期が長くなり、予定していた学会参加を次年度以降に延期としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加および解析、記録用のコンピュータの購入などを行い、研究を進めていく。
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