研究課題/領域番号 |
16K10294
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井手 佳美 昭和大学, 医学部, 助教 (20761498)
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研究分担者 |
犬塚 真由子 昭和大学, 医学部, 研究補助員 (40750617)
中村 清吾 昭和大学, 医学部, 教授 (70439511)
明石 定子 昭和大学, 医学部, 准教授 (60523199)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 造影マンモグラフィー / 遺伝性乳癌卵巣癌症候群 / 高濃度乳腺 / 乳房MRI |
研究実績の概要 |
研究初年度であった前年度(平成28年度)において、プロトコールの作成及び関係者への周知、院内倫理委員会での承認、造影剤によるアレルギーが起こった際のシミュレーション訓練等を行った。対象者をリクルートする準備が計画通り整ったため、研究2年目である平成29年度では、対象者のリクルートを開始、全9例に対して造影マンモグラフィーを施行した。9例の内訳は、【検討項目2】乳癌未発症ハイリスク者に対するサーベイランスとして行った7例と、【検討項目3】乳癌既往歴のあるハイリスク者の術後温存乳房に対するサーベイランスとして行った2例(術側の対側は検討項目2に該当)とである。アレルギーの発生はなく、全例安全に施行できた。1例において造影MMGによる病変の描出を認め、今後、良悪性の判定目的に生検予定である。 【検討項目1】の対象者である、乳癌の存在が判明している対象者のリクルートが進んでいない状況を鑑みて、本研究開始以前に当科で造影MMGを施行した乳癌患者から、本研究の対象者になりうる症例を検索したところ、遺伝的にハイリスクという観点から、37症例が該当することが判明した。研究計画を遂行する観点から、こちらを対象者に加えて解析を行っていくよう研究計画の修正を行った。 平成29年度における業績として、「造影マンモグラフィー」と題した原稿を執筆し、Rad Fan (1348-3498)15巻8号 Page33-35(2017.06) に掲載頂いた。第14回乳癌学会中部地方会(平成29年9月10日)のシンポジウムおよび第118回日本外科学会(2018年4月6日)の会長特別企画にて、それぞれ関連演題の口演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始2年目である平成29年度は、被験者のリクルートと造影マンモグラフィーの施行を中心的に推し進め、以下3点(①-③)を具体的な到達目標に掲げていた。3点の到達目標詳細の①、③は遂行できており、②についても、平成30年度に早々に実行する準備を進めている。以下に、到達目標詳細ごとの到達度と理由を記述する。 ①【到達目標】被験者をリクルートする。【到達度と理由】先行研究にて造影マンモグラフィーを施行したうち本研究の適格条件に該当する症例を含め46名の被験者をリクルートすることができた。目標通りに研究が実行できている。②【到達目標】造影マンモグラフィーおよび他の画像検査を施行する。【到達度と理由】GEヘルスケア製撮影機Senobrightを使用し、造影マンモグラフィー検査を施行した。比較対象として、全例において通常のマンモグラフィーを施行することができた。超音波検査、単純MRI、造影MRIも合わせて実施することができた。総合的に判断して、ほぼ目標通りに研究が実行できている。③【到達目標】造影マンモグラフィーが有効に機能した症例と、有効でなかった症例について臨床病理学的因子を検討する。【到達度と理由】担癌患者を対象とした検討項目1において、症例37例を対象に、年齢、発生部位、病期、腫瘍径、組織型、悪性度等につき、調査しデータ解析を行った。目標通りに研究を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究計画として、最終的に乳がん早期発見のための提言を行うことを目標としている。そのためには造影マンモグラフィーと、比較対象となる他のモダリティーとの間で検出力の違いを統計学的頑強度をもって示す必要がある。イベント数確保のためには被験者数を更に増すとともに現行の被験者に協力を継続いただくことが重要であることから、平成30年度の研究を実施するにあたっては、学際的な場やメディアにおける研究成果の発信を続け協力者の理解を促していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度において対象者のリクルート数が予想を下回ったことが理由の一つであるが、先行研究の対象者を解析に入れることで研究の進捗自体はほぼ計画通り進んでいる。 リクルートした対象者の検査代金として予算を見込んでいたが、まだ大学病院側から請求が来ておらず、支払いを終えていないものがあることももう一つの理由として考えられる。
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