研究課題/領域番号 |
16K10295
|
研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
秋澤 宏行 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90311795)
|
研究分担者 |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827) [辞退]
東川 桂 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (10756878)
宿里 充穗 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (20525571)
尾江 悟 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (90756107)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | がん / グリオキサラーゼⅠ / 放射性分子プローブ / 質的診断 / 治療効果予測 / 悪性度診断 / 核医学 / 放射性医薬品 |
研究実績の概要 |
本研究では、将来開発されることが期待されるグリオキサラーゼ I(GLO I)を標的とする抗がん剤の治療効果予測や、GLO I発現レベルの評価に基づくがんの悪性度評価、薬剤耐性評価を核医学画像診断により実施できるようにするために、GLO Iを標的とする放射性分子プローブを開発することを目的としている。 昨年度はまず、既存のGLO I阻害剤1の構造中のハロゲンを放射性ヨウ素に置換した放射性化合物2を合成し、それがGLO I阻害活性を有すること、また、緩衝液中で安定であることを確認した。ついで、細胞膜透過性を有し、内在化後に放射性化合物2に変換されるプロドラッグとして、化合物2をエステル化した化合物3を設計し、その合成を試みたが、目的物を得るには至らなかった。 これらの結果を踏まえ、平成29年度はまず、GLO I阻害活性を有することを既に確認した化合物2について、細胞内での安定性を評価するため、細胞溶解液とインキュベートした。その結果、本化合物は長時間にわたり安定に存在することを確認したことから、化合物2をエステル化した放射性化合物は、細胞質内に存在するGLO Iを標的とするプローブとなり得ると考えられた。一方で、昨年度取り組んだエステル化合物3の合成を引き続き検討したが、難航した。そこで次に、2種類の異なるエステル化合物4、5を設計し、それらの合成を検討した。その結果、一方については目的物を得られた。得られたエステル化合物をマウス血漿中でインキュベートしたところ、その構造は長時間維持された。しかし、培養がん細胞とインキュベートしても、ほとんど細胞内へ取り込まれなかった。したがって今後は、より脂溶性の高いエステル化合物を合成することを計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞内に取り込まれるエステル化合物を見出すことを目的としていたが、合成が難航し、それには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに設計、合成したものと比べて脂溶性の高いエステル化合物を設計、合成する。平成30年度の中頃までには細胞内に取り込まれる化合物を見出し、後半には、その化合物がGLO Iの発現量に対応したがん集積を示すか否かを確認する。
|