造影CT平衡相データを用いた細胞外液成分比率(extracellular volume fraction: ECV)による肝線維化推定において、最新のDual-energy CT(DECT)データを応用することでより低侵襲、かつ正確鋭敏な推定が可能になるかを検証した。 DECTで撮像された臨床例を後方視的に収集し、平衡相のデータからヨード定量性の高い、ヨード密度画像を作成し、ECVを計算した。それをMRエラストグラフィ(MRE)による肝硬度(kPa)(n=42)、もしくは病理学的線維化指標(F0-4)(n=28)と相関させた。昨年までの検討で、通常のヨード-水密度画像ではヨードの定量性が今ひとつ良くないこと、さらに椎体周囲のノイズのため必ずしも通常CTデータによる従来法を凌ぐ結果は得られなかった。これに対し従来のヨード-水密度画像に代わってヨード-血液密度画像を用いること、血液プールとして大動脈ではなく下大静脈を用いることを新たに考案し、従来法のECV、血液プールを大動脈もしくは下大静脈、密度画像をヨード-水もしくはヨード-血液 にして計算したECV4種、計5種のECVで比較した。結果、血液プールを下大静脈、ヨード-血液密度画像によるECVが最も正確にMREによる肝硬度、病理学的線維化程度F-gradeと相関し、良好な結果が得られた。 上記の理論的正当性を検証するため、単純CTにおいてヨード-水密度画像及びヨード-血液密度画像を作成し、腹部大動脈のヨード密度を測定した。結果、それぞれ 3.67 ±1.35 vs 0.39 ± 1.40 (p<0.0001)であり有意に後者の方が0に近く、本法の仮説を支持する結果となった。
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