研究課題
がんは本邦における死因の第1位であり、死因の約30%を占める。また、欧米などにおいてもがんは死因の上位に位置することから、がんを対象とした種々の治療法が国内外を問わず精力的に研究されている。この治療法のうち、放射性核種を患者に投与することでがんに集積させ、がんの内部から放射線を照射する方法(放射線内用療法)は、特定のがんに対して非常に有効な治療法である。従来の放射線内用療法では高エネルギーのβ-線を放出する核種が用いられ、また近年では、飛程が短く正常組織への影響が少ないα線やオージェ電子放出する核種を利用する研究が盛んに行われている。しかしながらこれらの核種の利用においては、化合物や抗体への核種の導入や、体内安定性などの点で克服すべき課題も多い。そこで本研究では、これらの課題を克服し得るもののこれまで注目されてこなかった、軟β線と呼ばれる比較的低いエネルギーのβ-線を放出する14Cや35Sを利用した放射線内用療法の可能性について検討を進めている。平成28年度および平成29年度の検討から、予想通り14Cや35Sのような比較的低いエネルギーのβ-線を放出する核種も放射線内用療法に有効であることが示され、35S標識したがん治療薬剤の体内動態を追跡するための11C標識体の合成に向けて、11C標識化合物のスルホン化をモデル化合物を用いて検討したところ、フェノール性水酸基に対して三酸化イオウ-ピリジン錯体を反応させることでスルホン化された11C標識化合物を得ることができた。平成30年度では14C標識したがん治療薬剤の体内動態を追跡するための11C標識体の合成に向けて、有用な標識中間体である11C標識したホルムアルデヒドおよびシアン化水素の高効率かつ簡便な製造法を開発した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1177/0271678X18808399
Journal of Nuclear Cardiology
巻: 25 ページ: 1204~1236
10.1007/s12350-017-1131-5