研究課題/領域番号 |
16K10305
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
徳丸 阿耶 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60507391)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 認知症 / MRI / アルツハイマー病 / 嗜銀顆粒性認知症 / 軽度認知機能障害 / 神経原線維変化型認知症 / 高齢者タウオパチー / レビー小体病 |
研究実績の概要 |
2016年度研究成果: ① 具体的内容:本研究は、認知症を惹起する病態を脳MRIを客観的バイオマーカーとして用い、臨床、創薬に役立つ診断技術を開発することにある。東京都健康長寿医療センターにおける臨床、画像、病理を結び検討することにより、背景病理に基づく正確な認知症の鑑別診断を行うことを骨子とする。 ② 研究意義:高齢者認知症で広く知られているアルツハイマー病の創薬治験が進められている昨今、対象症例の発症前、極早期を含む背景病理を推定しうる客観的バイオマーカーの開発は必須事項と考えられる。東京都健康長寿医療センターでの連続剖検のうち、軽度認知機能障害545例の内訳では、アルツハイマー病、嗜銀顆粒性認知症、神経原線維変化型認知症は、それぞれほぼ同率であり、これらを正しく臨床において鑑別することは、治療(創薬治験を含む)、介護、看護方針に直結する重要な課題であり、本研究の意義を示す。 ③ 本研究の重要性:昨今の社会において軽度認知機能障害のマネージメントは重要な課題である。道路交通法の改正に基づく、高齢者での運転免許更新の際の認知症テストの義務付けもその一端を示すが、客観的な画像診断は、その判断の一助となる。軽度認知機能障害を含む認知症の症状として、万引き、ゴミ屋敷、徘徊の果ての失踪、交通事故などに対しても、正しい診断にもとづく適切な介護、看護、治療方針の選定が重要な役割を果たすと考えられる。安全、安心な社会のなかで、どのように高齢者が個々に即した意義ある人生を全うするかにも関わる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 脳MRIを施行し、同意を得て剖検を得た症例は、現在まで84例となる。MRIのstatistical parametric mappin(SPM)、voxel based morphometry(VBM)手法、manual ROIを用いた解析を、病理診断アルツハイマー病、嗜銀顆粒性認知症、変性認知症を背景に持たない正常対照として施行し、順調に解析結果を得ているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について ① 上記解析結果をもとに、軽度認知機能障害段階のアルツハイマー病、嗜銀顆粒性認知症の鑑別診断技術を開発する。病理学的知見、画像解析知見から、両者の萎縮がはじまる解剖学的構造は非常に近接している。しかし、アルツハイマー病が嗅内野皮質からはじまり、全脳に萎縮、病理学的所見が広がっていくのに対し、嗜銀顆粒性認知症はその腹方迂回回に病変が強調され、限定的な萎縮にとどまる可能性が示された。 ② これらの知見をもとに、MRIの視覚的鑑別診断ポイント、VBM解析を用いた解析を進め、鑑別に資する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
① 画像データ解析手法の技官への教育、解析実施を進めた第1年度であるが、さらにデータ解析を進める次年度に、人件費確保、診断技術ソフト解析などを持ち越すこととなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
① 人件費、謝金(交通、宿泊費含む)として:47,688円/月x12=572,256円 ② 学会費、交通費:175,639円
|