研究実績の概要 |
我々は、一次性頭痛患者100名に対し3.0MRIによるdiffusion tensor imaging(DTI)を撮像した。DTI撮像は、single-shot EPIにて32チャネルのヘッドコイル (TR=6800ms, TE=75ms, axial slices=50, slice thickness=3mm, field of view=230×230;, matrix size=128×128, Nex=1, GRAPPA factor=2)を使用した。b値は0と1000 s/mm2;を使用した。軸数は20軸で、撮像時間は5分21秒である。DTI画像の解析は、Tract-based Spatial Statisticsを使用し、randomiseプログラムを用いてノンパラメトリック検定 (Permutation test; 5000回) 及び多重比較補正 (Family wise error correction) を行い、有意水準は5%未満とした。 結果として、一次性頭痛患者では治療によって、右視床や右内包、右放線冠、右小鉗子、左右に脳梁など右半球を中心に治療後有意なFAの低下が認められた。また疾患別に同様の解析を行ったところ、前兆のない片頭痛群では同様の結果が得られたが、緊張型頭痛群では治療前後に有意な変化は得られなかった。 以前に行った1.5T DTIの解析では、正常コントロールに比較して、前兆のある片頭痛、薬物乱用頭痛でFAの低下が認められた。 以上の結果より、DTIは片頭痛の診断、治療の予後予測に有効である可能性があり、また片頭痛や薬物乱用頭痛の病態を理解するためにも貢献が期待できる。 今後は、1.5Tと3.0T DTIの結果の違い、resting state functional MRIの解析などを追加する予定である。
|