研究課題/領域番号 |
16K10308
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桐生 茂 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (20313124)
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研究分担者 |
大田 泰徳 帝京大学, 医学部, 准教授 (60376431)
赤井 宏行 東京大学, 医科学研究所, 講師 (80770437)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝臓 / MRI / 光イメージング / NASH |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、NASHモデルマウスのMRIおよび光イメージングにおける自然史の解明およびその過程において発生する肝細胞癌について画像所見の推移を明らかにすることである。 平成28年度はNASHモデルマウスの自然史についての検討であり、NASHモデルマウスの作成、およびMRIと光イメージングを用いた検察を行った。 NASHモデルマウスは出産後、雌を選択してストレプトゾトシンを皮下投与、4週齢より高脂肪食で維持してNASHモデルマウスを作成した。いずれのマウスにおいても病理学的に肝炎の存在が確認され、また肝細胞が成長と共に観察することができ、NASHモデルマウスの作成が行えることを確認した。MRIにおいてTwo-point Dixon法を用いたT1強調画像により肝内脂肪含有率を検討し、Gd-EOB-DTPAを用いた腫瘤の出現について観察した。NASHモデルマウスおよびコントロールとして高脂肪食による非肝炎脂肪肝マウスを用いた。肝内脂肪含有率は生後8週ではNASH群で有意に高くその後緩徐に低下したのに対し、非肝炎脂肪肝群では上昇傾向がみられた。肝実質造影効果は生後8週ではNASH群で有意に低く、その後NASH群ではほぼ一定であったのに対して、非肝炎脂肪肝群では経時的に低下した。NASH群はいずれも10週のMRI撮影時に肝細胞癌と考えられる腫瘤の出現が認められ、病理で肝細胞癌であることが確認された。光イメージングではICGによる蛍光画像でNASH群の観察を行った。生後8週に比較して緩徐にICG投与後の肝実質ICG集積は低下して、10週目には肝細胞に対する集積と思われる限局的高集積が肝内にみられ、sacrifice後のex vivo撮影で一部の肝細胞癌にICG集積が確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、予定としていたNASHモデルマウスの自然史についてMRIでの観察は予定通り終了した。光イメージングによる観察も予定としていたNASHモデルマウスについては行えた。血液生化学データとの比較は十分には行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は肝細胞癌の描出についてMRI,光イメージングで最適化を行う。特に光イメージングでは圧迫による描出が向上するか検討を行う。 光イメージングおよびMRIにおける所見の比較を行う。 血液生化学データとイメージングとの比較を行う。 光イメージングでコントロールの観察を行い、NASHモデルマウスと比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は血液生化学的検討が十分に行えず、そのため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は血液生化学的検討について検討を行う。
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