研究課題
安静時の脳機能画像と、ヒトの心拍や呼吸といった生理学的指標との関連性について、脳幹などの植物性機能を司る局所の脳の関与だけでなく、より上方にある視床や基底核、大脳皮質といった構造の働きについても観察し、考察を加え、そこに成長や加齢といった年齢の変化に伴った変動がどう関わってくるのかを検討することを目的として研究を行ってきた。脳機能画像を検討する際には、解剖学的な位置についての把握が必要であり、先行研究で既に心拍との関連が報告されている視床の内部の構造についての画像化を、通常の臨床画像で確認されているよりも詳細な構造に至るまで描出できるように撮像についての検討を行った。脳機能活動を計測する際には、脳実質を灌流する血液中のヘモグロビンの酸素化・還元状態の違いによるMRI信号の変化に依存して脳活動を可視化する、BOLD(Blood oxygenation level dependent)法を用いるが、その計測の際には今回勘案する対象である心拍や呼吸といった生理的な変化はそれ自身がノイズの発生源となる。脳機能活動をMRIで計測する際、この影響を除外するための一手法として得られた画像データの体動の補正が行われるが、これも生理的なデータとして脳機能画像作成時に着目し、積極的に観察している。また、これらの生理的な変動の影響を直接受けない、心拍変動に伴う自律神経系のバランスに注目した形での脳機能活動の計測、および検討も行っている。一方で、画像に影響を与える循環動態や髄液への呼吸や拍動の影響も勘案すべきと考え、髄液動態の画像化についても検討した。上記の検討課題について、幅広い年齢層での観察が必要で、今後も十分な被験者での検討を要すると思われた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Magnetic Resonance in Medical Sciences
巻: 18 ページ: 163-169
10.2463/mrms.mp.2018-0053
巻: 20 ページ: -
10.2463/mrms.mp.2019-0048
Japanese Journal of Radiology
巻: 37 ページ: 135-144
10.1007/s11604-018-0790-8