研究課題
本研究の目的は、頸部頸動脈狭窄症を対象として3次元プラークMRI撮像法とプラーク容積計測ソフトウェアを開発し、その最適化を行うことである。本研究では3次元プラークMRIとして、血液と血流の抑制に関してターボスピンエコー(TSE)法が優れており、プラーク描出とプラーク容積評価に適していることを証明した。頸部頸動脈狭窄症の患者において、プラークの容積をソフトウェアで計測し、その得られたデータに妥当性、再現性、信頼性があるかどうかを、手動によるプラーク容積計測のデータをゴールドスタンダードとして検証した。また、このソフトウェアにより、手動と比べてどの程度計測時間に違いがあるかを比較した。ソフトウェアにより計測されたプラーク容積は、計測者内(intra-rater)、計測者間(inter-rater)ともに高い信頼性を示した。また、手動により計測した容積との比較では、その結果に高い妥当性を得た。ソフトウェアによるプラークの計測は、手動によるプラークの計測と比較して有意な計測時間の短縮を示した(p < 0.01)。以上の結果から開発した計測ソフトウェアは、高い信頼性と妥当性を持ち、さらに計測にかかる時間の有意な短縮をもたらすため、臨床の場において有用なツールとなることが証明された。最終年度に実施したこととして、定量ソフトウェアによるプラーク容積は様々な信号を持つプラークに対して手動で計測したプラーク容積と同等の信頼性を持つかについて検証した。その結果、高信号プラークの症例については高い信頼性を示したが、等信号プラークを含む症例ではプラーク容積が過小評価となった。すなわち、このソフトウェアは、等信号を含むプラークを計測できないことが明らかとなった。しかしながら、不安定プラークと考えられる高信号プラークを選択的に計測ができるという臨床的な意義があり、そのモニターとして有用と考えられた。
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