目的:渡辺遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギにおける3T MRを用いた脂質異常症の治療として用いたプロブコールの効果を評価すること。 方法:15羽のWHHLウサギを使用し、通常の食餌(プロブコール(-)食餌群;n = 8)または1%プロブコール含有する食餌(プロブコール(+)食餌群;n = 7)を16か月間与えた。MRIの撮影を行った後、無痛鎮静下に大動脈を取り出した。MRIの撮影には、3T MRI (SIEMENS製)を用いて、動きに強い撮像方法であるBLADE techniqueを使用し、脂肪抑制T1強調像、脂肪抑制T2強調像、脂肪抑制Gadolinium (Gd) 造影T1強調像を撮影した。下行大動脈壁に3か所関心領域を設定し、血管壁の信号値を計測し、同時に撮影した水ファントムの信号値との比(Signal-to-water ratios (SWR))を計算した。脂肪抑制Gd造影T1強調像において、ROIは脂肪抑制T1強調画像のROIと同じ位置に設定した。HE染色と血管におけるコラーゲン線維に対する弾性線維の割合を比較するために、EVG 染色を行った。EVG染色にて染色された膠原線維と弾性繊維の領域を測定した。全ての実験プロトコルは、私たちの施設内動物実験委員会によって承認され、倫理委員会の取り決めに従って行った。 結果:プロブコール(+)食餌群の血管壁における膠原線維の割合は、プロブコール(-)食餌群と比較して有意に少なかった。弾性繊維の割合に差は認めなった。脂肪抑制T2強調像のSWRの値と血管壁内の膠原線維に対する弾性線維の割合(PEF / CF)との間の相関係数は0.48であった。脂肪抑制T1強調像のSWRの値とPEF / CFとの相関係数は、0.31、脂肪抑制Gd造影T1強調像のSWRの値とPEF / CFとの相関係数は-0.34であった。
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