研究課題/領域番号 |
16K10324
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
古川 顕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
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研究分担者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252395)
山本 寛 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00283557)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | bowel motion / bowel contraction / MRI / cine MRI |
研究実績の概要 |
小腸蠕動運動の障害は、自律神経障害、原因不明のぜん動運動障害、薬剤、腹部手術後などの機能性要因や内腔狭窄やクローン病などの器質障害により起因し、様々な臨床症状を呈する。診療においては、ぜん動運動の有無の指摘のみならず、その程度を客観的に評価することが求められ、臨床機のMRIを用いた小腸運動の動的画像化とその定量的評価法の確立を目指した研究を進めている。本研究は、次の3つの柱からなる。 【1】腸管蠕動のコンヒュータ自動解析法の開発:1)局所腸管蠕動の計測・解析法:消化管の蠕動の頻度(周波数)と大きさ(振幅)を自動解析する方法と、2)腹部に設けた関心領域内全体の消化管の蠕動を包括的に捉えて評価する手法の開発を行っている。1)については、毎秒2枚で撮像される連続画像内に観察目的となる腸管を含む関心小領域を設定する。次に、その関心小領域内の消化管壁を腸管内腔との信号強度の差から自動的に同定し、その経時的動きを自動的に追跡することにより腸管の蠕動運動の経時変化を自動計測する手法を開発している。その結果から、腸管の蠕動周波数、振幅の大きさを自動計算する。これまでの検討で良好な結果が得られており、その成果を論文報告した。2)については、毎秒2枚で撮像される連続画像内に設定された関心領域(任意の大きさで、任意の場所に設定可能)の経時的信号変化から腸管の運動量を推測する手法で、この方法も良好な結果が得られており、これまでの成果を論文化しているところである。 【2】臨床例における検討では、大建中湯(腸管ぜん動改善薬)の効果について、健常ボランティアを用いて検討した研究の成果を論文発表した。 【3】3.0T高磁場MRIによる画像化は、消化管ガスによるアーチファクトが問題であり、現時点では1.5T-MRIに対する優位性が示され ていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1】腸管蠕動のコンヒュータ自動解析法の開発 1)局所腸管蠕動の計測・解析法:消化管の蠕動の頻度(周波数)と大きさ(振幅)を自動解析する方法においては、観察目的となる腸管を含む関心小領域を設定し、その関心小領域内の消化管壁を腸管内腔との信号強度の差から自動的に同定し、その経時的動きを追跡することにより腸管の蠕動運動の経時変化を自動計測する手法を開発している。その結果から、腸管の蠕動周波数、振幅の大きさを自動計算する。これまでの検討で良好な結果が得られており、その成果を論文報告した:Linh NDH, Furukawa A, Ayako Taniguchi, et,al. The Journal of Transportation Medicine 71(3/4): 88 -96 2017 2)腹部に設けた関心領域内全体の消化管の蠕動を包括的に捉えて評価する手法の開発:毎秒2枚で撮像される連続画像内に設定された関心領域(任意の大きさで、任意の場所に設定可能)の経時的信号変化から腸管の運動量を推測する手法で研究を進めている。現在、これまでの成果を論文にまとめているところである。 【2】臨床例における検討では、大建中湯(腸管ぜん動改善薬)の効果について、健常ボランティアを用いて検討した研究の成果を論文発表した:Inoue A, Furukawa A, Yamamoto H,et, al. PLoS One. 2018 Jan 10;13(1):e0191044 【3】3.0T高磁場MRIによる画像化は、消化管ガスによるアーチファクトが問題であり、現時点では1.5T-MRIに対する優位性が示され ていない。
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今後の研究の推進方策 |
局所腸管蠕動の計測・解析法:現在までの研究で、腸管の自動追跡法について、2秒間の画像の間に補完画像を挿入することでより精度の高い追跡が可能であることが明らかになっている。臨床的にどの程度の保管が必要かを明らかにするとともに、その精度を明らかにする。今年度中にその結果を学会発表並びに論文化するよう研究を進める。 腹部に設けた関心領域内全体の消化管の蠕動を包括的に捉えて評価する方法については、現在その成果について論文執筆中であり、これを完成させる予定である。 臨床例への応用については、症例数を積み重ねて、現在の研究をさらに進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた旅費が実費と異なったため、9,159円の予算が未使用となりました。この残額については、次年度研究費に充当する予定です、
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