研究実績の概要 |
消化管の蠕動運動は、内因性には小腸平滑筋や小腸壁内に存在する神経叢、外因性には自律神経やホルモンにより機能的に制御されている。そのため、消化管の蠕動運動は、その制御機構に異常をきたす自立神経障害、薬剤、腹部手術、感染症などにより障害され、さまざまな臨床症状を呈する。本研究は、MRIを用いてその消化管蠕動を記録にし、蠕動運動の状態、障害程度を自動的に定量評価する手法を開発し、その精度を評価することを目的としたものである。研究に用いたMR画像は、1秒間に1回の撮像スピードで30秒間連続撮像したシネ画像である。本研究では、1)局所の蠕動運動の消化管収縮回数を自動計測する方法、2)関心領域の消化管蠕動の状態を定量評価する方法、の二つの方法について検討した。 1)局所の蠕動運動の消化管収縮回数を自動計測する方法では、MR画像の信号強度を0と1に二値化して表示し、消化管を自動分離した。その際、Super-pixel segmental methodを応用するとより正確な消化管の自動分離が可能であることが判明した(NDH Linh, A Furukawa,YW Chen, H Yamamoto, et al. Computerized Assessment of Small Bowel Motility Function Using Cine-MR imaging: Preliminary Results in Super-Pixel Segmental Methods. J. of Transportation Med. 2017;71). 2) 関心領域の消化管蠕動の状態を定量評価する方法では、関心領域の経的信号変化の加算総和が消化管の観測時間内の運動量に相関した。 上記の結果は、MRIを用いた消化管蠕動運動の自動定量解析の可能性を示すものであり、臨床応用への期待が持たれる。
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