研究課題
MRIは乳癌の特徴的な乳管内進展を良好に描出し癌の広がりの術前診断に不可欠な検査である。ただし、通常腹臥位で撮像され手術室の背臥位とは乳房の形が異なる。このため、乳房温存術時に、腹臥位MRIでの癌の広がりを見ながら背臥位の乳房の切除範囲を決定することには限界がある。本研究では、この問題を解決するために、丸み帯びた乳房に正確に投影できるプロジェクションマッピング装置を開発した。本年度は昨年度に引き続き、乳房温存術予定患者の切除線決定時に本装置を用いて、乳腺MRIで指摘された癌の広がりを乳房皮膚に投影し、従来法との比較や従来法で分かりにくい癌の位置決定の補助を行い、概ね良好な結果を得た。本研究の臨床結果の外部発信として、本年度は日本乳癌学会では浸潤巣における従来法との位置の乖離を中心に発表し、上肢の固定法や従来法と乖離が起きやすいケースについてディスカッションを行った。さらに、北米放射線学会においては、浸潤巣に加え非浸潤性乳管癌を伴った症例への利用を報告し、主に背臥位MRI撮像法についての質疑応答を行った。国際学会に参加することで、乳房温存術の切除線決定は日本と海外では手技が異なることを知り、海外での新たなlocalization法について学んだ。さらに、本研究の総括として論文を執筆し国際誌に投稿し現在査読中である。
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すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)