研究課題
多発性硬化症(MS)に加えて視神経脊髄炎(NMO)においては、通常のMRIでは異常所見を認めないnormal-appearing brain tissue(NABT)や深部白質の視床の障害がMS患者の運動障害や高次機能障害に影響する可能性が高いと考えられている。さらに、視覚障害はMSのほぼ半数以上、NMOの90%以上に認められる障害である。昨年度においては、MS患者の大脳白質や視覚路に対してMRIによる拡散テンソル(DTI)および、新しい手法であるdiffusional kurtosis imaging(DKI), q-space imaging(QSI)を用いて、解析した。概要は以下の通りである。MS患者ならびにNMO患者の視覚障害の解明やその認知機能との関係を解明するべく、DKIを用いて評価し、さらに臨床指標である視覚誘発電位(VEP)との対比を行い、その有用性を検討した。本研究は第41回日本磁気共鳴医学会大会学術奨励賞を受賞し、昨年度Magnetic Resonance Imagingに採用された(Magn Reson Imaging. 2017 Jun;39:24-30. doi: 10.1016/j.mri.2016.04.011. Epub 2016 Apr 21. Alterations of the optic pathway between unilateral and bilateral optic nerve damage in multiple sclerosis as revealed by the combined use of advanced diffusion kurtosis imaging and visual evoked potentials.)。
2: おおむね順調に進展している
詳細は概要並びに業績に記載の通りである。毎月症例数は10例近く撮像し、解析可能な状態となっている。
今後はさらなる臨床情報との対比により、結果を包括的に総合し、病変と症状の解剖学的部位との関係のみならず、NABTと健常者や罹病期間での検討、視神経脊髄炎やMSの総合障害度評価尺度:EDSSや機能別障害度:FSと予後について検討、さらに治療前後の拡散変化について検討をしていきたい。
予定よりも人件費に出費がかからなかったため。
高機能パソコンの増設や人材の活用により円滑な研究を行えるようにしたい。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)
Magnetic Resonance Imaging
巻: 39 ページ: 24-30
10.1016/j.mri.2016.04.011.
脊椎脊髄ジャーナル
巻: 29 ページ: 889-899