多発性硬化症(MS)に加えて視神経脊髄炎(NMO)においては、通常のMRIでは異常所見を認めないnormal-appearing brain tissue(NABT)や深部白質の視床の障害がMS患者の運動障害や高次機能障害に影響する可能性が高いと考えられている。さらに、視覚障害はMSのほぼ半数以上、NMOの90%以上に認められる障害である。MS患者ならびにNMO患者の視覚障害の解明やその認知機能との関係を解明するべく、DKIを用いて評価し、さらに臨床指標である視覚誘発電位(VEP)との対比を行い、その有用性を検討した。昨年度においては、新しい拡散の解析法であるneurite orientation dispersion and density imaging(NODDI)を用いて、頭蓋内に病変の少ないMS患者とcontrolとの比較した全脳解析についての検討を行った。NODDIを用いたTract-Based Spatial Statisticsにより、MS患者においてはnormal appearing brain tissue において潜在性病変が存在する可能性が示唆される。
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