研究課題
多発性硬化症(MS)に加えて視神経脊髄炎(NMO)においては、通常のMRIでは異常所見を認めないnormal-appearing brain tissue(NABT)や深部白質の視床の障害が MS患者の運動障害や高次機能障害に影響する可能性が高いと考えられている。新しい拡散の解析法であるneurite orientation dispersion and density imaging(NODDI)ならびにSynthetic MRIを用いて多発性硬化症患者の白質障害を健常者と全脳統計解析(TBSS)において比較することで検討した。結果として、NODDIを用いたTBSSにより、MS患者においてはnormal appearing brain tissue において潜在性病変が存在する可能性が示唆される。さらに、ミエリンマップでは従来の拡散テンソルで主な指標となるfractional anisotropyとは異なる障害分布を示しており、白質障害の検出において相補的な情報を提供可能と考えられた。また、ミエリンマップを用いて多発性硬化症患者の皮質障害を検証したところ、early stageの患者群において側頭葉優位に障害され、既報と合致する結果であり、late stageでは広範な障害を示した。
2: おおむね順調に進展している
学会発表、論文作成ともに概ね順調である。
論文に関してアクセプトされるよう推進していきたい。今後はさらなる臨床情報との対比により、結果を包括的に総合し、多発性硬化症患者のみでなく、視神経脊髄炎患者に関しても解析を進めたい。
予定よりも人件費、謝金などへの利用が少なかったため次年度はさらに学会発表や論文作成を推進し、活用する予定である。
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Journal of Magnetic Resonance Imaging
巻: ahead of print ページ: ahead of print
10.1002/jmri.26744
American Journal of Neuroradiology
巻: 40 ページ: 224~230
10.3174/ajnr.A5927