研究課題
多発性硬化症(MS)に加えて視神経脊髄炎(NMO)においては、通常のMRIでは異常所見を認めないnormal-appearing brain tissue(NABT)や深部白質の視床の障害がMS患者の運動障害や高次機能障害に影響する可能性が高いと考えられている。新しい拡散の解析法であるneurite orientation dispersion and density imaging(NODDI)ならびにSynthetic MRIを用いて多発性硬化症患者の白質障害を健常者と全脳統計解析(TBSS)において比較することで検討した。結果として、NODDIを用いたTBSSにより、MS患者においてはnormal appearing brain tissue において潜在性病変が存在する可能性が示唆された。さらに今回、多発性硬化症患者と健常者をSynthetic MRIを用いて GM-based spatial statisticsにて比較した。結果として、ミエリン量についてT1, T2, PDよりも広範に皮質において有意差が認められ、ミエリンマップは感度の高い診断バイオマーカーと考えられる。また、early stageからlate stageにかけてもミエリン量の減少が認められた。さらに近年、ヒューマンコネクトームやMR g-ratio法など新たな拡散MRI解析手法により、より詳細に神経系の構造・機能を評価することが可能となってきている。g-ratio は髄鞘形成の尺度であり、白質経路の効率および最大伝導速度を反映する重要な指標である。近年拡散MRIを用いた生体脳のMR g-ratioの推定も可能となってきており、脱髄疾患をはじめとする多くの神経疾患応用への期待が高まっいる。今回MS患者において、g-ratioを用いたコネクトーム解析で運動野、体性感覚野、視覚、辺縁系におけるconnectivityの脆弱性が示され、関連する節点強度が増加していることを検出した。さらにこれらがMSの臨床的重症度と相関することを示した。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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