研究課題
インターベンショナルラジオロジー(IVR)等に携わる医療スタッフの被ばく線量と防護策、その被ばく低減への有用性と可能性を目的として研究を進めた。初年次には、先行研究に関する文献や国内外での規制動向等を調査するとともに、実際の臨床現場でのIVR診断・治療における照射条件、線量評価方法、特に、国際放射線防護委員会(ICRP)において2011年に新しい等価線量限度が勧告された水晶体の被ばくに着目し、検討を行った。また、IVRの臨床現場での医療スタッフの線量測定やファントム実験方法について検討を行った。次年度には、初年度の検討を踏まえ、実験及び線量測定を実施した。併せて防護具の有用性を検討した。最終年度には、さらなる情報を得るため、臨床現場やファントム実験を継続するとともに、実験や測定により得られたデータを、臨床現場での防護の最適化に有効利用できるよう教育プログラム(データ提供のためのツール)の作成を試みた。教育プログラム作成には、データ集計等でよく利用されているマイクロソフトEXCELを使用した。試作では、CT透視下で実施する腎生検におけるCT周辺の水平・垂直方向の線量分布データをデータベース化して入力するとともに、これまでに臨床現場で得られた医療スタッフの立ち位置の情報や防護具による医療スタッフの被ばく低減率等の情報を利用した。マクロ機能を利用して、シート状に医療スタッフの立ち位置、防護具の有無を選択できるような機能を持たせ、医療スタッフの線量を表示して可視化した。このプログラムを利用することにより、医療スタッフが簡単に操作して自らの年間線量や防護具の有効性を把握することができ、自主的な被ばく低減を促すことができるものと考えられる。医療スタッフの利用向上のためには、今後、このプログラムを他の手技にも適用し、さらに利用しやすく開発することが必要である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
International Journal of Radiation Biology
巻: in print ページ: 1-10
10.1080/09553002.2019.1605464