研究課題/領域番号 |
16K10344
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
南 哲弥 金沢大学, 附属病院, 准教授 (60436813)
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研究分担者 |
蒲田 敏文 金沢大学, 医学系, 教授 (00169806)
小林 聡 金沢大学, 保健学系, 教授 (30313638)
香田 渉 金沢大学, 医学系, 准教授 (30401920)
吉田 耕太郎 金沢大学, 医学系, 助教 (30645130)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インターベンショナルラジオロジー |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続いてdiethyl- nitrosamine(DEN)を用いてラットに対して肝癌を発生させる実験を行った。腫瘍発生の個数や大きさのモニタリングが困難なことは昨年度報告してあるが、体外式の超音波により腫瘍の状態観察を試みている。 家兎モデルに対しては、すでに複数回の腹部血管への動脈造影や注入実験は確立することができている。磁性体の動注については当初予定のフェルカルボトランの動注実験と平衡して、より磁性の強い鉄粉も用いている。鉄粉については200マイクロメートル以下にキャリブレーションを行ったものも使用した。 磁石誘導については体外からの誘導も試みたが、磁力の分布が左右肝動脈のそれぞれの血管分岐点においてほとんど差異が生じないために十分な磁力側への導入が困難であったため、昨年度に行い始めたネオジム磁石による誘導に力点をおくこととした。用いた磁石は径1.5mmで3mm長のものであり、直列あるいは数本の束の並列でも用いることが可能であった。太さは17ゲージ針とほぼ同じ太さであり、体外からの刺入も可能であったが、臓器損傷もあり、開腹下での使用として行っている。家兎では肝動脈全体に注入した分布状態、磁力により片葉に誘導した場合、選択的に片葉に動注させた場合の差異を比較検討している。結果としては透視画像上やDSA画像上は分布の有意差はリアルタイムで観察することは困難であったが、組織学的には磁性体の分布の観察を行い、磁力の有無により軽度の分布差は見られているが、完全な定量化はできていない。鉄粉で行った実験については少量で完全塞栓となってしまい、有効な全体分布を得ることができない状態で、その理由としては各粒子同士が凝集しやすいためと考えている。従来のTACEのようにリピオドールとの混和することも含めて追加の実験を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体外式の磁石による誘導については、血管分岐レベルでの磁力の差異を十分に得ることが解剖学的に困難であると考えられた。本年度の実験結果からは体内に留置した磁石による誘導がより有効であり、現実的であると考えられた。フェルカルボトランの動注は確立できているが、鉄粉やその他の磁性粒子での実験は今後の課題ではあるが、実験系としては確立していると考えられるため、おおむね順調な進行状況であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
ラットについては、動脈がかなり細いため、家兎のように片葉への選択的動注ができないため、磁石のon vs. offでの実験を行う。現在問題となっていることは、肝動脈自体が細く、通常の動注でもそれぞれの葉への分布が不均一となってしまうことであり、カテーテルのさらなる細径化を試みている。さらに、動注の状態を安定化させた状態で、肝癌モデルでの動注実験を行い、腫瘍、非腫瘍分も含めた分布の確認を行う予定にしている。 また、今後は細径の磁石の位置取りや、その挿入方法についてもより安全な方法の確立についての実験的検討を行う。 そして、各部位に流入した粒子の全体量のより正確な定量法についての検討を行う。
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