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2016 年度 実施状況報告書

68Ga-DOTATOC-PET/CTによる腫瘍および炎症の画像診断

研究課題

研究課題/領域番号 16K10346
研究機関京都大学

研究代表者

中本 裕士  京都大学, 医学研究科, 准教授 (20360844)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードソマトスタチン受容体イメージング / DOTATOC / PET / サルコイドーシス
研究実績の概要

平成28年4月1日より平成29年3月31日までに99人の患者に対してDOTATOC-PET/CT検査を施行した。初年度の平成28年度はサルコイドーシス患者が集まったので結果をまとめるとともに、投与後撮像までの待機時間が、30分と60分とで診断精度や定量値に差があるのかを検討した。
臨床的にサルコイドーシスと確定した20人の患者について従来のガリウムシンチグラフィ、DOTATOC-PET/CT検査を施行した。ガリウムシンチグラフィでは17人が陽性所見を呈した一方、DOTATOC-PET/CTでは19人の患者でサルコイドーシス浸潤と考えられる陽性所見が得られた。特にDOTATOC-PET/CTでは、リンパ節炎のほか、ぶどう膜炎や筋肉浸潤の描出に優れていた。リンパ節病変が陽性描画された領域数は、ガリウムSPECT33領域に対して、DOTATOC-PET/CTでは57領域と多く、統計学的に有意差をみとめた。
DOTATOCを投与して60分後の撮像とともに、30分後にも撮像を追加して、それぞれ得られた画像の診断精度を比較した。対象となった38人の患者に125病変(原発巣17、リンパ節転移22、肝転移39、肺転移5、骨転移37、その他の病変5)が描出され、両画像ともに描出能は同等であった。定量解析として、1ピクセルあたりの最大SUV(SUVmax)、病変1mLの最大平均SUV(SUVpeak)、SUVmaxの40%を閾値としたMTV、MTV内のSUVの総和(TLU)を両画像で比較したところ、スピアマンの順位相関係数はそれぞれ0.983, 0.986, 0.918, 0.981 と強い正の相関がみられ、両者の差を平均で割った値はそれぞれ11.1%, 6.6%, 13.1%, 20.8% であった。DOTATOC-PET/CT検査では、投与30分後と60分後の画像の診断能は同等と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

薬剤合成に必須の68Ge/68Ga ジェネレーターの需要が世界的に増えたために入手が困難となり、2016年の秋に予定していた更新が2017年3月まで延期された。このため、1回合成で得られる放射性薬剤の収量が少なくなり(68Geの半減期は271日)、合成あたりの患者数の設定を数ヶ月間1人と限定せざるを得なかった。2017年1-3月の検査可能な患者数が限定されたことで症例数の蓄積が十分でなかった。しかしながら現在は、新しいジェネレーターを使用することができるようになり、1回合成で3人の検査が可能となったため、全国からの検査依頼を効率的に受けることによって、症例を鋭意蓄積中である。

今後の研究の推進方策

68Gaを抽出するジェネレーターが更新されたことで1回合成の収率が増加したため、検査枠の拡大が可能となった。稀少疾患である腫瘍性骨軟化症が20人を超えたため、患者の検査後のフォローアップ情報を入手して検査結果の真偽を確定するとともに、臨床的有用性を考察していく予定である。また腎細胞癌の術後症例は、組織型の相違による診断精度の副解析に向けてしばらく症例を増やしていく。呼吸器内科領域では、胸腺癌治療におけるソマトスタチンアナログの有用性が話題となっている。サンドスタチンなどのソマトスタチンアナログ製剤は基本的に高価な薬剤であり、治療効果の予測は医療経済学的にも重要なテーマである。効果予測にDOTATOC-PET/CT検査の全身評価を役立てることができないか症例を蓄積して検討する。

次年度使用額が生じた理由

論文作成が遅れており、英文校正の費用が算定されていないため。

次年度使用額の使用計画

論文ができあがり次第、英文校正費にあてることになる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] The utility of PET/CT with (68)Ga-DOTATOC in sarcoidosis: comparison with (67)Ga-scintigraphy.2016

    • 著者名/発表者名
      Nobashi T, Nakamoto Y, Kubo T, Ishimori T, Handa T, Tanizawa K, Sano K, Mishima M, Togashi K.
    • 雑誌名

      Ann Nucl Med.

      巻: 30 ページ: 544-552

    • DOI

      10.1007/s12149-016-1095-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical efficacy of dual-phase scanning using (68)Ga-DOTATOC-PET/CT in the detection of neuroendocrine tumours.2016

    • 著者名/発表者名
      Nakamoto Y, Ishimori T, Sano K, Temma T, Ueda M, Saji H, Togashi K.
    • 雑誌名

      Clin Radiol.

      巻: 71 ページ: 1069.e1-1069.e5

    • DOI

      10.1016/j.crad.2016.04.017

    • 査読あり
  • [学会発表] 68Gaオクトレオタイドを用いたソマトスタチン受容体イメージング2016

    • 著者名/発表者名
      中本裕士
    • 学会等名
      第56回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋市、愛知県
    • 年月日
      2016-11-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 68Ga-DOTATOCによる 神経内分泌腫瘍の画像診断2016

    • 著者名/発表者名
      中本裕士
    • 学会等名
      第56回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋市、愛知県
    • 年月日
      2016-11-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 68Ga-DOTATOCの生理的集積:ホルモンの影響2016

    • 著者名/発表者名
      中本裕士、渡部正雄、石守崇好、富樫かおり.
    • 学会等名
      第56回日本核医学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋市、愛知県
    • 年月日
      2016-11-03
  • [学会発表] Physiological uptake of 68Ga-DOTATOC in normal organs: influence of higher hormone levels.2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Nakamoto, M. Watanabe, S. Koyasu, T. Ishimori, K. Togashi.
    • 学会等名
      SNMMI 2016 Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center, San Diego, USA,
    • 年月日
      2016-06-13
    • 国際学会
  • [学会発表] Physiological uptake in PET/CT with 68Ga-DOTATOC.2016

    • 著者名/発表者名
      Yuji Nakamoto, Masao Watanabe, Takayoshi Ishimori, Kaori Togashi.
    • 学会等名
      第75回日本医学放射線学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、横浜市、神奈川県
    • 年月日
      2016-04-17
  • [学会発表] Somatostatin receptor scintigraphy in patients with gastroenteropancreatic neuroendocrine tumors.2016

    • 著者名/発表者名
      Yuji Nakamoto
    • 学会等名
      第75回日本医学放射線学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、横浜市、神奈川県
    • 年月日
      2016-04-15
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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