研究実績の概要 |
平成28年4月1日より平成29年3月31日までに99人の患者に対してDOTATOC-PET/CT検査を施行した。初年度の平成28年度はサルコイドーシス患者が集まったので結果をまとめるとともに、投与後撮像までの待機時間が、30分と60分とで診断精度や定量値に差があるのかを検討した。 臨床的にサルコイドーシスと確定した20人の患者について従来のガリウムシンチグラフィ、DOTATOC-PET/CT検査を施行した。ガリウムシンチグラフィでは17人が陽性所見を呈した一方、DOTATOC-PET/CTでは19人の患者でサルコイドーシス浸潤と考えられる陽性所見が得られた。特にDOTATOC-PET/CTでは、リンパ節炎のほか、ぶどう膜炎や筋肉浸潤の描出に優れていた。リンパ節病変が陽性描画された領域数は、ガリウムSPECT33領域に対して、DOTATOC-PET/CTでは57領域と多く、統計学的に有意差をみとめた。 DOTATOCを投与して60分後の撮像とともに、30分後にも撮像を追加して、それぞれ得られた画像の診断精度を比較した。対象となった38人の患者に125病変(原発巣17、リンパ節転移22、肝転移39、肺転移5、骨転移37、その他の病変5)が描出され、両画像ともに描出能は同等であった。定量解析として、1ピクセルあたりの最大SUV(SUVmax)、病変1mLの最大平均SUV(SUVpeak)、SUVmaxの40%を閾値としたMTV、MTV内のSUVの総和(TLU)を両画像で比較したところ、スピアマンの順位相関係数はそれぞれ0.983, 0.986, 0.918, 0.981 と強い正の相関がみられ、両者の差を平均で割った値はそれぞれ11.1%, 6.6%, 13.1%, 20.8% であった。DOTATOC-PET/CT検査では、投与30分後と60分後の画像の診断能は同等と考えられた。
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