研究課題/領域番号 |
16K10350
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
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研究分担者 |
久冨 信之 香川大学, 医学部, 准教授 (20552045)
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
豊原 潤 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50425659)
畠山 哲宗 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (90602805)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / 核酸代謝 / C-11 4DST / PET |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍の特徴として無制限な自律性増殖があげられ、細胞増殖つまり核酸代謝をターゲットとした分子イメージングが注目されている。私どもの施設では新規DNA合成イメージング剤としてC-11 4DST PETを行っている。C-11 4DSTは動物や細胞の実験レベルでは投与後速やかにDNAに取り込まれ、標識されたC-11からのガンマ線を検出することにより生体のDNA合成を正確に評価できることが明らかにされている。今回の研究目的は脳腫瘍において腫瘍内部の悪性細胞の核酸代謝を非侵襲的に評価し、悪性度や治療効果判定における有用性を確認することである。 PET検査における評価方法は進化し、最近では体積評価や活動性評価を用いた方法が普及しつつある。今年度の研究は、この新たな体積評価方法を適応し、その評価方法をガドリニウムを用いた造影MRIと比較検討した。また、細胞分裂能の指標であるKi-67 indexとの関係を調べた。 対象は、20例の治療前神経膠腫(WHO Grade Ⅲ:8、Ⅳ:12)である。C-11 4DST PETによる体積評価はSUVmaxの40%を閾値に設定しMetabolic Tumor Volume (MTV) を算出した。造影MRIによる体積評価は視覚的に造影されている部分の体積(VMR)を算出した。また摘出標本での免疫組織染色により細胞増殖能であるKi-67 indexを測定し、MTV、VMRと比較した。 視覚的にC-11 4DST PETでは全例で集積が見られたが、MRIではGrade Ⅲの1症例で造影効果が見られなかった。MTVとVMRは、Grade IVで有意な相関が見られたが(r=0.66、P < 0.01)、Grade Ⅲでは有意な相関は見られなかった。Ki-67 indexとMTV及びVMRにはともに有意な相関はみられなかった。結論として、Grade IVでMTVとVMRに相関が見られ、C-11 4DST集積は造影剤の造影範囲とよく相関した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるC-11 4DST PET検査を脳腫瘍患者に実施できており、また新たな評価方法である体積評価や不均一性評価などが行えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は様々な脳腫瘍患者にC-11 4DST PET検査を行った。今後も症例を追加し、神経膠腫の抗がん剤や放射線治療の効果判定、脳壊死と腫瘍再発の鑑別などにおけるC-11 4DST PET検査の有用性を検討していく予定である。また、低酸素イメージング剤であるF-18 FMISO PET検査も様々な脳腫瘍患者に実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していた一つの学会出張を取りやめたため残が生じた。 (使用計画) 学会出張旅費に充てる。
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