研究課題
子宮筋腫に対するいくつかの低侵襲な治療法が知られているが、近年、凍結療法が新たな治療法として注目されるようになってきた。しかし、当治療法は新しい治療法であり、妊孕性への影響など不明な問題点も多い。申請者らは子宮腔内に温水を還流下しつつ凍結療法を行うことにより、病変のみを凍結し正常子宮内膜を温存することができるのではないかと考え、子宮腔内温水還流下凍結療法を考案した。本研究では、子宮腔内温水還流下凍結療法の有効性及び安全性について、下記の動物実験を行って検証した。実験①:全身麻酔下に山羊(雌)を開腹し、子宮腔内(両側子宮角)に還流用チューブを挿入したのち、温水還流下に子宮筋層にプロ―べを穿刺し凍結療法を行い、組織温度を測定した。実験データを解析したところ、組織温度は灌流群において高い傾向を示した。また、非灌流群の損傷は灌流群と同等あるいは重度であった。凍結時の組織温度が‐30℃より高い部位では組織学的な傷害が弱く、‐30℃よりも低い部位ではより強い組織的傷害が認められた。凍結時の組織温度は個体ごとにばらつきが大きく、一定の傾向は認められなかった。実験②:ウシの摘出子宮に対し還流あり・なしで凍結療法を行い、形成されたアイスボールをMRIにて観察した。また還流液として生食、オリーブオイル、リピオドールを用いた。これらの実験結果を解析したところ、MRIにて描出されるアイスボールの大きさや、子宮組織への凍結範囲に明らかな差はなかった。
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Int J Urol.
巻: 26 ページ: 785-790
doi: 10.1111/iju.14013.