研究課題
同時収集型PET/MRI装置を用いたアルツハイマー病の分子病態診断の高度化に向け、今年度は認知症鑑別診断への応用に向けた脳内ドーパミン作動性神経系の機能評価の試みと、アルツハイマー病における脳内アミロイド蓄積のPET/MRI装置による測定を行った。脳内ドーパミン作動性神経系の機能評価については、40~50才代の健常者5名を対象に[18F]FDGによるPET/MRI検査を施行した。PET/MRI検査は[18F]FDGの静脈内注射の45分後より40分間のPET撮像をリストモードで行い、PET撮像と同時にMRIにより脳形態評価用のT1強調ボリューム画像およびニューロメラニン画像の撮像を施行した。T1強調ボリューム画像を撮像している時間(静注51分後より5分間)のPET画像データをサイノグラム上で切り出して画像再構成し、T1強調ボリューム画像と同一時間に撮像したPET画像を得た。T1強調ボリューム画像を参照しながらPET画像およびニューロメラニン画像上で黒質に関心領域を設定し、上小脳脚交差部を参照部位としてニューロメラニン濃度を定量した。健常者間の個人差においてはニューロメラニン濃度とブドウ糖消費量との間には有意な相関はみられなかった。今後、被験者数を増やしてこの相関についてより正確に調べる予定である。脳内アミロイド蓄積のPET/MRI装置による測定については、健常者5名、アルツハイマー病患者15名について測定を終了した。今後は健常者を中心に被験者数を増やし、平成28年度に確立したPET と同時に撮像したMRI画像を用いての部分容積効果補正が、アルツハイマー病における脳内アミロイド蓄積の評価に及ぼす影響について調べる予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度はほぼ計画通りに研究が進展した。
平成29年度の研究成果を元に、計画通りに平成30年度の研究を遂行する。
今年度はトレーサー動態解析・画像解析用ワークステーションおよびトレーサー動態解析・画像解析用ソフトウェアを研究実施施設に設置されている共用のものを使用できた。そのため、今年度はこれらを購入せず次年度使用額が生じた。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
Psychopharmacology (Berl)
巻: 234 ページ: 323-328
10.1007/s00213-016-4464-x
J Physiol Sci
巻: 67 ページ: 325-330
10.1007/s12576-016-0466-z
Ann Nucl Med
巻: 31 ページ: 273-282
10.1007/s12149-017-1155-6
Int J Neuropsychopharmacol
巻: 20 ページ: 285-294
10.1093/ijnp/pyw111
Neuroimage
巻: 158 ページ: 12-17
10.1016/j.neuroimage.2017.06.066
J Pharm Sci
巻: 106 ページ: 2558-2565
10.1016/j.xphs.2017.05.006
http://www.fmu.ac.jp/cms/rad/index.html
http://www.fmu.ac.jp/home/acrc/