研究課題
同時収集型PET/MRI装置を用いたアルツハイマー病の分子病態診断の高度化に向け、今年度はアルツハイマー病患者および健常者における脳内ブドウ糖消費量のPET/MRI装置による測定を行い、PET/MRI装置によるリアルタイム体動補正とPET画像のMRIによる減弱補正が診断能に与える影響を調べた。アルツハイマー病患者6名および健常者7名を対象に、[F-18]FDG静注45分後より5分間のPET撮像をPET/MRI装置で行い、PET撮像と同時にMRIでBOLD信号の毎秒の撮像を行うことによりPET撮像中の体動のデータを得た。また、PET画像の減弱補正用画像データをMRIのDIXON法およびUTE法により得た。PET画像の放射能濃度と体重および[F-18]FDGの投与量からSUV値の画像を計算し、脳内局所に関心領域を設定した。DIXON法により減弱補正用を行った場合は、頭蓋骨を描出できるUTE法を用いたときよりも健常者群の大脳皮質域でSUV値が6%過小評価され、アルツハイマー病患者群では2%過小評価された。また、減弱補正法の違いによるSUV値の違いには脳内局所差がみられ、頭頂葉でSUV値の違いがより顕著となる傾向がみられた。PET画像上のアルツハイマー病の病変検出能については、海馬傍回においてUTE法を用いた方が検出能が高かった。一方、リアルタイム体動補正の有無によるSUV値の有意な変化は健常者群、アルツハイマー病患者群共にみられなかったが、病変検出能については、海馬傍回においてリアルタイム体動補正を適用した方が検出能が高かった。検査中の体動が避けられないアルツハイマー病患者のPET検査においては、リアルタイム体動補正が検査精度の向上に寄与する可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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