研究課題/領域番号 |
16K10357
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
稲野 彰洋 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (30437933)
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研究分担者 |
織内 昇 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40292586)
鈴木 義行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60334116)
長谷川 有史 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70404879)
原 孝光 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 教授 (70464542)
添田 義行 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (10553836)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 急性放射線障害 / 間葉系間質細胞 / アニマルルール |
研究実績の概要 |
平成28年度、29年度の実施したマウスの消化管急性放射障害に対するPLX-R18細胞の効果をまとめ、 18th world congress of basic and clinical pharmacology @2018 Kyoto, JAPANにポスター発表を行った。追加の実験、解析を検討したが、データ追加はここまでとして、発表データをもって、臨床応用の方法についての検討を行った。 イスラエルPlurisutem社の研究者を交えて、PLX-R18の研究開発進行状況、得られている結果、会社としての開発方針などを議論し、日本国内での臨床薬理試験(Phase1試験)の実施可能性を検討することとなった。適用は急性放射線障害の臓器保護および発症予防投与とし、日本国内の行政、原子力規制との調整を行うこととした。 PMDAのRS総合相談、厚生労働省医薬・生活衛生局、厚生科学課、原子力規制庁と面談を重ね、日本版animal ruleはなく、米国での承認取得を優先し、令和元年度に発足する基幹高度被ばく医療支援センターと連携して、さらなる追加研究を実施した方がよい、ということになった。 福島県内で進む福島第一原子力発電所の水素爆発後の廃炉作業中に発生危惧のある急性放射線被ばく事故に備える、被ばく医療に待機可能な医薬品の開発、という点では、明確な医薬品開発のパスウェイは特定できなかった。ただし、緊急使用などを含めて、必要な関係機関や医師との連携ができたことは幸いであった。引き続き、企業主導でのPLX-R18細胞の有効利用、開発推進に今年度の活動が活かせる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PLX-R18の効果検討臓器には、消化管の他、皮膚を想定してたが、消化管のみにとどまった。しかし、有効性を引き出すための条件はほぼ特定でき、日本国内の行政機関との調整、アニマルルールに代わる開発プランについて、行政の立場を理解できたことは、予定通りの成果であった。 企業所有の細胞医薬品であるため、ここまでの知見を企業開発で継続できる見通しを得たことは想定以上であった。
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今後の研究の推進方策 |
企業主導の開発に切り替えるが、基幹高度被ばく医療支援センターと連携して有効性について検討する必要がある。また、その他の企業も米国でARS適用の開発を進めていることが副次的に情報を得ることができた。より良い薬剤を、引き続き科学的に評価し、被ばく医療の発展に貢献していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
PMDA、厚労省、原子力規制庁などの調整時期が遅れてしまったため。次年度、基幹高度被ばく医療支援センターとの打ち合わせ旅費として使用したい。
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