本研究の目的は、充分とは言えない肝悪性腫瘍に対する治療のひとつとして、腫瘍を栄養する動脈に風船付きカテーテルを用いて薬剤を長く腫瘍に停滞させる治療(バルーン閉塞下温熱抗癌剤動注化学療法)の臨床応用にむけ、基礎実験を行う事である。 実験は兎に1個肝細胞癌悪性腫瘍モデルを作成、カテーテルを肝臓に挿入して、薬剤を腫瘍に注入することは確立できた。条件を変えて検討した結果、無治療群が、薬剤を肝臓から注入した群よりも長く生き、腫瘍増大も抑制されていた。本実験でプラチナ系製剤のバルーン閉塞下動注が、肝臓悪性腫瘍を持った兎の予後延長・腫瘍制御を示すことができなかった。種を変えたより大型動物での実験が望まれる。
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