研究課題/領域番号 |
16K10361
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
久慈 一英 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90283142)
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研究分担者 |
山根 登茂彦 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (20526660)
佐伯 俊昭 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50201512)
上田 重人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20646947)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳癌 / PET / エストロゲン受容体 / 低酸素 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1) 乳癌における低酸素状態とエストロゲン受容体発現度の関係をPETにより非侵襲的に評価できることを病理結果と対比して確認すること、(2) 乳癌術前内分泌あるいは内分泌化学療法にて低酸素状態とエストロゲン受容体発現度と治療効果との関係を調べること、(3) 生検できない再発や転移病変の評価をPETで行い、上記の結果を合わせて治療効果との相関を検討すること、で有効な早期治療効果評価と治療階層化のための基盤構築を目的とする。 我々はこれまで乳癌に関して、糖代謝と低酸素状態について、FDG-PETやF-18-fluoromisonidazole(FMISO)-PETによる核医学的手法と光イメージングを対比しながら病理組織学的相違や治療効果との関係を明らかにしてきた。当該年度では、FMISOによる治療後の低酸素評価の有用性を論文にまとめるとともに、FES-PET/CTをリクルートして安全に20例実施することが出来た。20例では、原発病理結果のエストロゲン受容体発現と相関を検証した。エストロゲン受容体が陽性でもFESで陰性になる場合があり、内因性のエストロゲンの影響など未知の因子の関与が考えられる。FES-PET/CTの有用性が認められるのは、リンパ節転移や骨転移にて、エストロゲン受容体陽性の乳癌転移と診断が容易であることである。また、画質も良好で、このような特定の乳癌転移の検出法としての有用性を示唆している。 FES-PET/CT立ち上げの報告と転移の検出に関する有用だった症例について日本核医学会関東甲信越地方会にて結果報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FES-PET/CTを合成し、20例で乳癌患者で実施し、病理結果とPETデータを取ることができた。FDG-PETは全ての症例で得られており、比較検討できる。また、一部でFMISO-PETも施行した。 FES-PET/CTの有効性を確認することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1. 乳癌術前内分泌あるいは内分泌化学療法にて低酸素状態とエストロゲン受容体発現度と治療効果との関係を調べる。 (1)術前補助化学療法例にてFES集積度と治療反応性についての関係を評価する。基本的なCT、MRIによる腫瘍形態画像に加えて、18F-フルオロミソニダゾール(FMISO)PETイメージングによる低酸素、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PETによる糖代謝画像を撮像する。(2)FESおよびFMISO-PETは専用PET/CTにて撮像し、腫瘍部のSUVmaxを測定して集積度とする。(3)術前化学療法後に、再度同じ検査を行い、術前との変化を検討する。さらに、手術にて、病理的な検討も行う。 2.生検できない再発や転移病変の評価をPETで行い、上記の結果を合わせて治療効果との相関を検討する。 (1)それまでに得られた基本的データを踏まえた上で、再発や転移病変でも評価を行う。病理の確認できない病変にて、FESによる受容体発現度と低酸素程度と治療反応性の関係を解析していく。(2)FESによるエストロゲン受容体と低酸素イメージングとともに、FDG-PETによる糖代謝変化と治療後の腫瘍収縮率との関係を検討し、乳癌の治療抵抗性について治療前診断や治療早期における評価法を検討する。(3)再発や転移病変のPETによる評価により、治療法の組み合わせや選択法について考察し、病態に応じた最適な治療法を考案する。 3.問題点:治療中の患者では、FDG-PET/CTは必須で、FES-PETを施行すると、FMISO-PETの余裕が無いことが多い。3種類の検査を同時点で行うことは難しいので、低酸素状態を光イメージングで代替することやそれぞれの検査を経時的に行うなど、現実的なスケジュールを立てて実施することにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を早く開始するために、PET薬剤費を他の研究費から調達したため。
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次年度使用額の使用計画 |
資金の残額と研究のタイミングと進捗状況を上手く考えて、計画して薬剤等材料を当該研究費から優先して使用していく。
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