研究課題/領域番号 |
16K10362
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中原 理紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10317240)
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研究分担者 |
高橋 和弘 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), その他部局等, 研究員 (20370257)
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
松坂 陽至 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00594483)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | FDG標識赤血球 / PET / 要電子放出断層撮像 / blood pool imaging / 脾組織 / 熱変性FDG標識赤血球 |
研究実績の概要 |
最終年度には第44回日本微小循環学会で本研究の成果発表を行い、他分野の研究者からご意見を頂き、さらに応用法などの理解が深まった。また、予定していたヒト赤血球で標識が可能かを検討しようと実験開始を試みたが、海外の研究グループがヒト赤血球で標識し動物PETを実施した報告がなされたため、ヒト赤血球での赤血球PETの実施は可能と判断し、ヒト赤血球で臨床応用するために必要なデータや設備を検討した。その結果、ヒト赤血球で実施するためには厳密な基準を満たしたクリーンな環境で取り扱い標識する必要があり、細胞プロセッシング部門との連携も必要と分かった。今後どのように連携して行うか、臨床研究法に準じた研究を開始するかを検討する。 研究期間全体を通して考えると、2017年にFDG標識赤血球PETの結果がヨーロッパの核医学専門誌に論文が掲載された。この論文は既に他の6本の論文に引用されており、その科学的重要性があることが示された。2018年にはFDG標識赤血球を応用させた、熱変性FDG標識赤血球のPETによる脾臓組織の検出の内容の論文がアメリカの核医学専門誌に掲載された。PETで熱変性させた赤血球をin vivoで脾臓組織に集積する報告を行ったのは本報告が世界初めてである。これにより膵内副脾由来のepidermal cystの微小な脾臓組織を検出し、膵内副脾由来のepidermal cystの確定診断を行ったり、特発性血小板減少症の治療目的の脾摘時に再発の原因となる副脾を術前に明瞭に描出させ完全切除を行うことでその再発を抑制したりすることが可能となる。また、splenosisという腹腔内に散布された脾臓組織が悪性腫瘍の播種と紛らわしく診断上、悩ましい所見となりうるが、熱変性FDG標識赤血球PETはそれをsplenosisと確定診断できる。 以上のように、本課題については十分な研究成果が出せたと考える。
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