研究課題/領域番号 |
16K10369
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
兵頭 朋子 近畿大学, 医学部, 講師 (40403836)
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研究分担者 |
村上 卓道 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20252653) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / X線 / dual-energy CT / デュアルエナジーCT / 癌 / 肝動脈化学塞栓療法 / 物質弁別 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、デュアルエナジーCTの物質弁別法によるヨード密度定量によって、肝動脈化学塞栓術(transarterial chemoembolization;TACE)後の肝細胞癌の局所制御を早期予測しうるかを明らかにし、より客観的なTACEの治療効果判定を確立することである。 平成29年度は、油性ヨード造影剤リピオドールTACEの局所再発予測に関して、臨床研究データの画像解析法を決定した。 平成28年度のファントム実験によって、デュアルエナジーCTデータから再構成したヨード密度画像では、高濃度ヨードにおいても定量の線形性が保たれ、この点で従来のCT値より優れることが判明した。抗がん剤エピルビシンを併用したリピオドールTACE後の臨床画像において、リピオドール集積の画素値をヒストグラムに表し、得られたパラメータと、局所無再発期間との関連が示唆されたが、従来の視覚評価による治療効果判定を上回るものではなかった。これは、ヒストグラムのパラメータが集積の位置情報を持たないことが原因と考えられた。このため、画素値のヒストグラム性状を考慮した自動形態解析によって局所再発を予測する方法を考案し、前年度の検討と同じ臨床データを用いて、画像解析ソフトウェアと統計分析ソフトウェア(いずれも無償のフリーソフトウェア)の機能を組み合わせて再解析を行い、前年度のヒストグラム解析ならびに視覚評価と比較した。形態解析のパラメータの一部は、従来の視覚評価よりも、局所無再発期間との関連性が強いことを確認でき、結果を国際学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤エピルビシンを併用したリピオドールTACE症例の画像解析について、リピオドールの集積形態を考慮した解析を加えて再検討を行い、局所再発予測における定量解析の有効性を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、画素値のヒストグラムを用いたリピオドール集積の定量解析が、併用された抗がん剤によらず再発予測に有効かどうかを確認したうえ、臨床研究成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果報告・情報収集のための海外学会参加費が生じた一方、購入予定のプリンタが施設内のものを使用できたことと、学会発表のスライド英文校正は今回不要であったことから、差の未使用額が発生した。これを次年度にて、スライド・論文作成のための英文校正費に使用する。
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