研究課題/領域番号 |
16K10370
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高木 治行 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30378377)
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研究分担者 |
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00217712)
廣田 省三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20181216)
山門 亨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20263022)
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60241171) [辞退]
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10441247)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 動脈塞栓術 / 低酸素応答 / 肝細胞癌 / 免疫寛容 / CCL17 / CCL28 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TAE)後の再発機序を、低酸素応答システムを介した免疫寛容の観点から解明し、さらに、これらを制御することにより、TAEの治療効果を向上させ再発を防止する新たな治療戦略の可能性を模索することである。 平成28年度に行ったin vitroの実験において、ラット肝細胞癌株にTAEを模した低酸素刺激を行うことにより、免疫寛容に関連する各種遺伝子(CCL-17、CCL-28、PD-L1)の発現が増加することを明らかにした。 上記結果を踏まえ、平成29年度はin vivoでの検討を中心に行った。ラット肝癌モデルを作成し、X線透視下にTAEを施行。そして、TAEを施行したサンプル(TAE群)およびコントロール群より腫瘍部および非癌部の組織を採取。これらのサンプルを用いて、RT-PCRによる各種遺伝子発現の検討および組織学的な検討を行った。RT-PCRの結果、特に腫瘍においてCCL-17やCCL-28といった抑制性T細胞の走化に関与する遺伝子の発現増加が認められた。このため、TAEによる低酸素刺激は、腫瘍部でCCL-17やCCL-28の発現を増加させ、抑制性T細胞を腫瘍微小環境にリクルートしている可能性が示唆された。実際に組織サンプルで抑制性T細胞の集積亢進が起こっているかどうか、現在、免疫組織染色による検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度に作成したラット肝癌モデルおよび、in vitroでの実験結果を踏まえ、H29年度はin vitroでの検討を行うことができた。このため、H29年度に予定していた研究計画は、概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、肝癌にTAEを行うことで腫瘍部に抑制性T細胞の集積亢進を来し得る可能性が示唆された。よって、TAEの際に抑制性T細胞の集積を阻害することで、治療効果を改善できる可能性が示唆される。H30年度は、ラット肝細胞癌モデルこれらの阻害剤を併用したTAEを行い、実際に抑制性T細胞の集積を阻害したり、治療効果の改善が得られるかどうかを、主にin vivoでの検討で行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) In vivo実験が比較的効率的に進んだことと、組織免疫染色にかかった費用の支払いが次年度になるため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額は、組織免疫染色の費用および実験動物購入費や各種解析に必要な試薬購入に使用し、引き続き研究を続ける予定である。次年度は、各種阻害剤がTAEの治療効果に与える影響を、in vivoで検討する予定である。
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