研究課題
腹膜播種は、現在有効な治療法がなく、新規治療法の開発が求められている。現在、その治療においては、手術により病巣を切り取る外科療法が標準治療として行われているが、肉眼ではとらえられない微小転移巣を切除することは難しく、これが再発の原因となっている。また、現在大腸がんにおいては、5-FU等を用いた術後化学療法が行われているが、効果は不十分であると報告されており 、より有効な治療法の開発が課題となっている。一方、治療用放射性核種を標識した抗体(放射性抗体)を体内に投与する「放射免疫療法」は、散在性微小がんに放射性抗体が結合し、細胞を放射線により近傍から攻撃できるため、有望な術後療法として期待されている。我々はこれまでに、大腸がんにおいて、多くの患者で高発現する上皮成長因子受容体(Epithelial Growth Factor Receptor, EGFR)を標的とした放射性抗EGFR抗体を用いた放射免疫療法が有望であると報告してきた。しかし、抗EGFR放射免疫療法の実用化に向けては、さらなる最適化が望まれる。一方最近、放射線に対するがん細胞の応答経路は細胞毎に異なるため、各がん細胞に効果の高い放射線増感剤に違いがあることが認識されつつある。本研究では、抗EGFR放射免疫療法において、がん個性に応じた増感剤を事前に選択し、これを併用する方法の開発を行った。昨年度までに、放射性抗体の合成・増感剤スクリーニングキットの作製・増感剤スクリーニングキットによるがん個別最適増感剤の選定法の確立を行った。また、本年度は、増感剤スクリーニングキットで選定された薬剤が、実際にin vivoで効果があることをマウスモデルを用いて実証した。本研究により、抗EGFR放射免疫療法における「個別化増感放射免疫療法」の有用性が示唆された。
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Journal of Nuclear Medicine
巻: - ページ: in print
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Oncotarget
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