研究課題/領域番号 |
16K10379
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 徳雄 北海道大学, 大学病院, 助教 (80572495)
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研究分担者 |
Tha KhinKhin 北海道大学, 医学研究科, 特任講師 (20451445)
サザランド ケネス・リー 北海道大学, 医学研究科, 特任助教 (70643914)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 陽子線治療 / 放射線治療 / 肝癌 / Radiomics |
研究実績の概要 |
(1) 肝癌患者における治療前画像データ情報と再発の関連性の解析 再発に関するデータを収集するために、北大病院において肝細胞癌に対して2005年から2015年の間にX線動体追跡放射線治療(RTRT)を行った37名44病変について後方視的に解析した。全生存率や局所制御率について検討を行い、第58回米国放射線腫瘍学会 で発表した(Stereotactic Body Radiation Therapy Using a Real-time Tumor-tracking Radiotherapy System for Hepatocellular Carcinomas. 2016年9月25日-28日 ボストン、米国)。年齢中央値68歳(54-84歳)、腫瘍径中央値20mm(6-40mm中央値)であった。線量・回数は48Gy/8回が41病変に用いられていた。観察期間中央値17ヶ月(2-82ヶ月)で2年全生存率71%、2年局所制御率89%であった。6例に照射野内再発を認め、そのうち2例は照射野外の肝内にも再発していた。4例は治療後2年経過して再発していた。有害事象は治療後6ヶ月以内でGrade 3以上のトランスアミナーゼ上昇は3例に認められた。2017年3月までの過去2年間に陽子線治療を行った患者33例の成績に関して、学会発表に向けて解析中である。 また、当該年度の前半においては肝細胞癌に対するX線治療や陽子線治療成績に関するレビューを行い、シンポジウムや講演で発表した。 (2) 線量増加シミュレーションプランニングの施行 陽子線治療後の肝実質変化を陽子線治療計画の段階で予測できるように、肝癌への陽子線治療前後で取得したMRI画像データを元に10例を解析し、学会発表すべく準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1) 当初、陽子線治療を行う肝細胞癌患者数を20名程度を予想していたが、2016年度は12名と予想よりも少なかった。 (2) 当施設では新たな低酸素イメージング製剤であるFDiFAを開発し、2016年度にFDiFA-PETのphase1試験が開始(すでに終了)となった。FDiFAはFMISOと比較して正常肝への集積が低くなることから、FMISOよりも肝腫瘍内低酸素の診断能向上が期待されている。2017年度中に肝癌を含め悪性腫瘍患者に対するFDiFA-PETの臨床研究の開始が予定されている。2017年度以降の低酸素イメージングはFDiFA-PETが重点的に行われることになることから、本院の核医学診療科と相談し、研究結果を解析する際に2種類の低酸素イメージングが混在することを避けるために2016年度に肝癌FMISO-PETの施行は行わないこととなった。そのため、治療前PET画像の取得が行われておらず、進捗状況としては当初の計画よりも遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度はFMISO-PET画像は得られていないが、治療前後でのCTやMRI画像データは蓄積されており、引き続きデータを蓄積していく。また、2017年度中からFDiFA-PET画像データを蓄積していく予定である。 陽子線治療成績の解析を進めていくとともに、陽子線治療後の肝実質変化を陽子線治療計画の段階で予測できるように、肝癌への陽子線治療前後で取得したMRI画像データを元に10例を解析したが、症例を追加して検証を行っていく。 また、蓄積されたCTやMRI画像データをもとにradioman-featureをRadiomics 解析に必要な情報抽出を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度はFMISO-PETを行わなかったため、その分の薬剤費用に未使用分が発生した。また、当初の陽子線治療患者数の予想(20名)よりも実際の患者数(12名)が少なかったため、既存のPCでも何とか処理できるデータ量であった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度では、FDiFA製剤の購入費に使用する予定である。データ量が増えた段階でPCを購入する予定である。
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